説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「なぜ削除できないアプリがあるの?」という質問に答えます。

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ホーム画面でアプリアイコンを長押しすると、アイコンがぶるぶると震え始め、移動や削除が可能になります。削除はアイコン左上にある「×」をタップするだけ、iPhoneのメモリ上からそのアプリ本体および関連データは消去されます。

この処理は「アンインストール」と呼ばれ、不要になったアプリ、容量の都合で一時的にメモリ上から取り除きたいアプリに対して行います。App Store(iCloud)にダウンロード履歴は残るため、有料アプリも再課金されることなくインストールし直すことが可能です。

しかし、iOSに標準装備のアプリはアンインストール対象になりません。アプリアイコンが振動をはじめても、「Safari」や「メール」、「カレンダー」といった最初から入っているアプリに「×」ボタンは表示されません。表示位置を変えることはできても、アンインストールはできない仕様です。

その理由としては、iPhoneの活用とシステム(iOS)管理にとって不可欠な機能を備えていることが考えられます。たとえば、「設定」が消えてしまったとしたらどうでしょう。現状の設定が固定化されてしまい、困った事態に陥ること確実です。「Safari」や「メール」も、なくなったときの影響の大きさを考えると、アンインストールできないようにしておくことが道理といえます。

iOSといえどソフトウェアですから、標準装備アプリの削除は理論的には可能です。しかし、ジェイルブレイクと呼ばれる特殊な処理を行わねばならず、その時点でiPhoneのメーカー保証は期待できなくなります。無理に削除したとしても、標準装備アプリは単体配布されていないため再インストールは困難です。iOSのアップデートで復活する可能性はありますが、ジェイルブレイクしたiPhoneを無事アップデートできる保証はありません。利用しない標準装備アプリは、フォルダなど目立たない場所に移動することが唯一の対策です。

アプリアイコンを長押ししても、iOSに標準装備のアプリには「×」が現れません