マウスコンピューターが開発を明らかにしたWindows Phone

Windows Phoneが、日本市場向けに相次いで投入されることが明らかになっている。

マウスコンピューターが、Windows Phoneの開発意向表明をしたのに続き、京セラがWindows Phoneの試作機をバルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2015」で公開。そして、fleetelは、2015年夏までに国内でWindows Phoneを発売することを明らかにした。

Windows Phoneは、2011年8月に、富士通がau向けに「IS12T」を発売して以来、国内では新製品が発売されていない。それにも関わらず、ここにきて、Windows Phone投入の動きが活発化しているのには理由がある。

2014年以降、米MicrosoftにおけるWindowsのライセンスプログラムが変更された。これにより多くのメーカーがWindows Phoneを投入しやすい環境が整ったことに加え、日本においては、2015年5月からSIMロック解除の義務化がはじまり、SIMフリーの動きが加速するという市場環境の変化もあるからだ。かつては、キャリアとの連携以外には製品投入ができなかったスマホ市場の環境変化は、スマホメーカーの参入障壁を取り除くものになっている。

だが、Windows Phoneの動きが加速するなかでも、日本マイクロソフトが、その重い腰をあげるのにはもう少し時間がかかりそうだ。

それは、今回の各社のWindows Phoneの投入が、Microsoftの新たなライセンスプログラムを背景にしたものではあるものの、日本マイクロソフトのプロモーション戦略や国内販売戦略とは一線を画したものになっているからだ。

日本マイクロソフトでは7月1日から新年度が始まるが、2015年6月30日に終了する同社2015年度において、Windows Phoneに関する販売予算はまったく計上されていない。販売予算がないのだから、当然、プロモーション予算もゼロである。

つまり、日本マイクロソフトが、国内でWindows Phoneの販売を加速する体制は、少なくとも、今年7月になるまでは整わないということになる。逆にいえば、もし日本マイクロソフトと足並みを揃えるのであれば、各社によるWindows Phoneの投入は7月以降に本格化すると考えられるだろう。

実際、日本マイクロソフトでは、これだけWindows Phoneが国内市場に投入される動きがあっても、「Windows Phoneに関しては、引き続き準備を進めている」と、これまでのコメントを繰り返しているのみだ。バルセロナで開催した「Mobile World Congress 2015」では、買収したノキアが持つLumiaブランドの新Windows Phoneも発表されたが、国内投入についても、現時点では未定としている。

これは、日本マイクロソフトにとっても、Windows Phone 8の段階で製品を投入するよりも、今年秋にも登場が見込まれるWindows 10からとした方が、サポートする製品が増えなくて済むという点でも得策であり、それまではWindows Phoneの投入はないと考えるのが妥当だろう。

メーカー各社が、Windows Phoneを国内投入する姿勢を示したことは、大きな関心を集めている。他社に先駆け開発を発表したマウスコンピューターは、話題性の意味でも好タイミングだったといえるだろう。実際に、マウスコンピューターが日本マイクロソフトと歩調を合わせるかどうかは不明だが、日本マイクロソフトによるWindows Phone事業の本格展開には、少なくともあと半年ほどの時間は必要となりそうだ。