日本の伝統的な暖房家具であり、冬の季語でもあるコタツ(炬燵)。「一度入ったら出られない」ほど魅力的なコタツだが、ノスタルジックな昭和のコタツと比べると、今のコタツは格段に進化している。熱源部分は薄く出っ張らないように工夫され、今や夏でも普通のテーブルとして使える商品が当たり前。今回は昨今のコタツ事情を紹介し、旧来のコタツの常識をくつがえすユニークな機能・デザインのさまざまなコタツを見てみよう。

いま、コタツが見直されている!

インテリア性の高い家具調や変わり種も増えて、コタツの良さを再認識する人が増えてきている。

見直されるようになったきっかけについて、コタツ業界でトップシェアを持つ山善の家庭機器事業部 商品1部の巽(たつみ)吉朗専任課長に尋ねると、「熱源であるヒーターの変化が大きな要因。薄型化により、見た目でヒーターが目立たなくなった。夏でもコタツ布団だけ片付けて、出しっぱなしでローテーブルとして使う人が増えている」とのこと。また、脚を長くして椅子に座って使えるコタツが登場したことで、ソファやダイニングチェアと組み合わせて使用するケースも増えたそうだ。

裏面が完全フラットですっきり!

楽天やヨドバシ.comなど通販サイト各社で幅広く取り扱われているフラットヒーターコタツ「MFK-753DB」。天板サイズはW75×D75cmと、昔ながらの馴染み深い大きさ。ヒーターに出っ張りがない完全フラットタイプ。価格は10,000円前後(税込)

一方、小泉成器 商品事業部 冷暖空調機器担当の永野健輔課長に尋ねると、市場に対する分析は同様で、「椅子が使えるコタツは出入りが楽で、足を折り曲げるのが苦手な高齢者のニーズが高い。ダイニングテーブルとしても使えるので、ファミリー層にも人気だ。逆に従来型のコタツは比較的安価な製品が多く、一人暮らしの学生や新社会人の引き合いが多い。市場として二分されている印象だ」と述べる。

普通のテーブルにもなるので夏でも出しっぱなし!

両社の指摘する通り、一見すると昭和のころと変わらぬ外見のオーソドックスなコタツでも、布団をめくるとヒーターの出っ張りが目立たない製品が主流になっている。これなら足を伸ばしてヒーターにぶつけることもない。最近のコタツはフラットタイプでなくても、ヒーターの出っ張りはせいぜい5cm程度。布団を外せば普通のテーブルになるので、夏でも出しっぱなしにでき、コタツの収納場所を考えなくて良いのも利点だ。

こだわりの木目デザイン

小泉成器の家具調コタツ「KTR-3147」。天板サイズはW75×D75cm。室内の雰囲気を和らげる木目調。天板には象嵌(ぞうがん)も施されている。消費電力は500W。価格は19,600円前後(税込)

夏はシンプルなローテーブル

無印良品のローテーブル型コタツ「MKN-1200R/N」。天板サイズはW120×D80cm。熱効率や耐熱性に優れる雲母を利用したマイカヒーターを採用。スイッチオンですぐに温かく温風式より静かなのも特徴だ。消費電力は最大300W。無印良品ネットストア価格29,000円(税込)