7月9日から11日までの3日間にわたり東京ビッグサイトで開催された、ライブ・コンサート・舞台や各種イベントのためのサービス・製品が一堂に集まる「第1回 ライブ&イベント産業展」。同展示会にイベント映像のエキスパート企業として豊富な実績を持つシネ・フォーカスが出展し、イギリスのMUSION社が開発した3Dホログラム技術を用いたスペシャル・デモンストレーションを、日本国内での本格展開に先駆けてお披露目した。

本レポートでは、シネ・フォーカス 事業管理室リーダー・マーケティング担当の市川雅士氏のコメントを交えながら、同社ブースの模様をお届けする。

シネ・フォーカスブース内では、普段直接目にする機会の少ない、日本国内でも希少な4万ルーメンの高輝度を誇るBARCO製DLP大型プロジェクター「HDQ-2K40」の実機展示なども行われた

3Dホログラムとは、3Dメガネなどを装着せずとも、立体映像を見ることができる特殊な立体映像技術(特許技術)であり、現在その最高峰に位置するのがMUSIONの3Dホログラム技術だという。特殊なフィルム(フォイル)を利用し、ステージ上にあたかも実在するかのように見える、リアルな立体映像を出現可能にするものだ。2014年5月にアメリカの「Billboard Music Awards 2014」にて公開された、故マイケル・ジャクソンのホログラムステージで採用されたことでも話題となった。

そんなライブパフォーマンスをも可能とした最新3Dホログラムの特長について、市川氏は「何といってもその圧倒的なリアリティーです。既存の3Dホログラムはいかにも"投影した映像"といったものでしたが、MUSIONの3Dホログラムはその場で見ても現実と3Dホログラムの見分けがつかないほど高精細なんです。私も初めて映像を見た際にはとても大きな衝撃を受けました」と語る。

特設された3Dホログラム用のデモンストレーション・ミニシアターは、入場を待つ多くの人々により長蛇の列ができるほど大人気。高品位なホログラム用フォイルが生み出す驚きのステージに、多くの来場者から感嘆の声が上がっていた

また、現在3Dホログラムとして投影されるソースはHDクオリティーの映像となっており、一見技術的ハードルが高いように感じられるコンテンツ制作面においても、既存の映像制作の延長線上での作業が可能とのこと。活用シーンの多さや新規性だけでなく、導入の容易さなども含め、各種イベント関係者から高い注目を集めているのもうなずける。市川氏は、同社からMUSIONの3Dホログラムを提供する際の大きなアドバンテージとして、すでに世界で700件以上の施策を手がけるなど豊富な実績があり、それに伴って蓄積されたノウハウもクライアントに提供できる点であると語った。

さらに、市川氏は、「プロジェクターなどの機材関連のスペックが進化することで、4Kクオリティーへの進化なども必然的に進んで行くものを思われます」と今後の情勢を予想した上で、「弊社は、イベント映像に関わるすべてをワンストップで提供する企業であり、常にプロジェクターをはじめとした最新機材をラインナップしております。そういった意味でも日々進化を続けるMUSIONの3Dホログラムとのタッグは両者にとって最適なパートナーシップであるといえるのではないでしょうか」と自信をのぞかせた。

世界中で話題となった3Dホログラム映像の中から厳選されたエンタメ系およびプレゼン系コンテンツが披露された「MUSIONスペシャルデモ」。MC担当の女性と、リアルな3Dホログラムが見事に融合しているのに驚かされた

ブース内に設置された3Dホログラムシアターは、MUSIONの3Dホログラムにおける最小ユニットとなる「6m×4m」(フォイル・サイズ)のステージ構成となっていた。しかし、導入の際には、複数台のプロジェクターを利用することで、横幅について実質無制限での設置が可能だという。過去には、最大サイズである46mのフォイルの設置実績もあり、国内での大規模なイベントやステージでの応用も期待されるところだ。市川氏は、「出展ブースのスペースの関係上、デモンストレーションは最初ユニットでの上映となりましたが、逆に日本国内での限られたステージでも3Dホログラムの十分な魅力が再現できることを体感していただけたと思います」とその手応えを話していた。

同社では日本での本格的な展開を行うあたり、コンテンツにも日本ならではのアイデアや工夫を盛り込んだものをと考え、映像作家の清水誠一郎氏とコラボレーションし、ヒューマン・ビートボックスとゲームキャラクターをフィーチャーした作品を用意。今後も国内の数多くのクリエイターの皆さまからアイデアや意見を募りながらコラボレーションを進め、MUSIONの3Dホログラム技術を国内に広く展開・普及していきたいという同社の意気込みを十分に伝えるものだった。

映像作家の清水誠一郎氏により作成された3Dホログラム・コンテンツが、特設シアターにて初公開された。仮想のゲームステージを舞台に、ヒューマン・ビートボックスのパフォーマンスと3Dホログラムによる圧巻の演出が融合し、観客たちを魅了していた。なお、BGMからバトルの効果音まで、ほとんどの音がマイクひとつで表現されている

最後に、市川氏は、「おかげさまで多くの関係者の方々にご来場いただき、日本国内でも3Dホログラム技術へ大きな期待を寄せていただいていることを実感しています。ライブステージやアトラクション、演劇、イベントなどのエンターテインメントシーンはもちろん、プレゼンテーションなどのビジネスや政治といったシーンでも活用可能な3Dホログラムの発展と進化が、私自身も非常に楽しみです」と今後の展望について語り、場を締めくくった。

業界関係者からは、"ポスト・プロジェクションマッピング"的存在として注目が高まっているという最新の3Dホログラム技術。国内でいかに広がりをみせ、日本ならではのコンテンツを生み出していくのか、今後もその動向から目が離せない。