総務省が携帯SIMロック解除の義務化に向けた動きを見せているという報道が先週末に流れ話題となった。そもそも「SIMロック解除」とはどのようなことなのか。総務省の狙いは何か。それによって、ユーザーにはどんなメリットやデメリットが生じるのか。これらの点について考えてみた。
「SIMロック解除」とは?
日本で販売される携帯の多くには「SIMロック」がかかっている。SIMロックとは、その携帯電話を販売するNTTドコモといった携帯キャリアがかけている一種の"縛り"のようなもので、携帯の電波を中継する基地局への接続情報が含まれた「SIMカード」について、携帯キャリアが販売する端末で利用可能なSIMカードはその販売事業者の供給するものに限定してしまう。
例えばNTTドコモで購入した携帯端末に、KDDIやソフトバンクといった他の事業者が発行しているSIMカードを挿入してNTTドコモとは異なるネットワークでサービスを利用しようとしても、SIMロックの制限により行えないというものだ。
「なぜこうした不便を強いるのか?」という疑問がわくが、一番の理由は「ユーザーに長期間回線を利用してもらうために安く端末を提供しているのに、端末だけ持っていかれてサービスは他社のものを利用されていたのでは割に合わない」というもの。そこで「2年縛り」や「SIMロック」を条件にして一種の自衛というわけだ。「端末を安く利用するためのトレードオフ」ともいえるSIMロックだが、この縛りを取り除くのが「SIMロック解除」となる。
NTTドコモでは過去数年に同社で販売された多くの機種について、手数料等の諸条件付きでSIMロックを外すサービスを提供している。ただし日本で一番人気のiPhoneが解除対象には含まれていない。auのKDDIとソフトバンクは一部機種を対象にしたSIMロック解除で、ドコモほどには広範囲に対応機種を展開していない。