光岡自動車はこのほど、新型ミディアムクラスセダン「Ryugi」(リューギ)を全国一斉に発売した。都内で開催されたプレス発表会では、同社初のハイブリッドモデルも公開。同社が貫くクラシカルなスタイリングと、ベース車に準ずる現代のテクノロジーとの組み合わせに注目が集まった。

「リューギ」ハイブリッドモデル(写真左)とガソリンエンジン車(同右)。傍らに立つのは光岡自動車代表取締役社長、光岡章夫氏

サイドからリヤにかけて、ベース車「カローラ アクシオ」の形状が生かされたデザインに

「他人と同じではつまらない」というユーザーへの提案

「リューギ」は1,500ccのミドルサイズセダン。光岡自動車はこれまでも、1,200ccの「ビュート」、2,500ccの「ガリュー」というセダンをラインナップしてきたが、この2車種の中間に、「リューギ」が加わることになる。プレス発表会でプレゼンテーションを行った光岡自動車開発課課長、青木孝憲氏によれば、「ビュートでは雰囲気がかわいすぎる、でもガリューではサイズや車格が大きすぎる……というお客様の声を反映して企画したのがリューギ」とのことだ。

「ビュート」も「ガリュー」も、丸目のヘッドランプに、垂直に立ち上がる縦基調のラジエターグリル、大きな前後メッキバンパーという外観上の特徴を持つが、こうした光岡自動車ならではの意匠は、そのまま「リューギ」にも引き継がれている。

実車を見学し、大手メーカーの量産車には見られないクラシカルなスタイリングと個性的な顔立ちを前に、今回も「他人と同じではつまらない」と感じるユーザーのハートをつかむかもしれないと感じた。

前後とも、水平基調の大きなメッキバンパーが目立つ。FRPで造形されたフロントボディと、縦型のリヤランプが特徴的

ハイブリッドモデルは、トヨタ「カローラ アクシオ HYBRID」の1NZ-FXEエンジンを搭載。ハイブリッドシステムのエンブレムも付いている

いくらスタイリングが好きでも、クラシックカーを日常的に使用し、それを維持するのはかなりハードルが高いことだと思う。しかし、トヨタ「カローラ アクシオ」をベースに作られたという「リューギ」なら、そうした心配事からは解放されるだろう。クラシカルな雰囲気を、最新の性能で気軽に楽しめるのは、「リューギ」そしてミツオカ車最大のアドバンテージのひとつといえる。今回はハイブリッドモデルも設定されたため、いまどきの環境性能やエコカー減税の恩恵に浴することもできる。

年内に、さらに2車種を発表する!?

「リューギ」はFRP製フロントボディやバンパーの制作・取付け、ボディ塗装など、全工程が手作業で行われ、1台完成するのに約30日を要するという。この、ミツオカ車に共通する非効率的なクルマ作りについて、光岡自動車代表取締役社長の光岡章夫氏は、「この事業だけでは経営的にやっていけない。今回、新型車が発表できたのも、輸入車ディーラー事業と中古車事業という、会社全体のボリュームがあってこそ」と説明していた。

成型の難しい大型ラジエターグリルの上には、ハンドメイドの七宝焼きのエンブレムが。どれも手間がかかっている

フロントとリヤの造形により、全長はベース車の4,360mmに対して4,510mmと、少々ロングに

インテリアは基本的にベース車に準じるが、ミツオカのロゴマーク入りの本革シートなどのオプションも用意される

その上で、「世界中をいろいろ見てきたが、我々のような小さなコーチビルダーはなかなかない。焦らず、息の長い事業として、これからもお客様の喜ぶクルマを作っていきたい」と光岡氏は強調。「今年、あと2車種ほど発表すると聞いている」という"サプライズ"発言も飛び出した。

今回、「リューギ」でハイブリッドシステムのベース車を初めて用いた光岡自動車。次はどんな展開が待っているのだろうか?