新興の音楽配信サービスが興隆を見せるなか、すでに老舗となったiTunesで、Appleがこれら新勢力を迎え入れるべく、新施策を準備しているという噂がある。ヒットチャートなどで知られる米Billboard誌のオンライン版は3月21日(現地時間)、これらライバル対抗のためにAppleがiTunes for Androidのアプリリリースを計画していると報じている。実際、米国でのiTunesダウンロードの売上が減少に転じつつあるなど危機的兆候が見えつつあり、こうした新機軸に関する話題が出てきたようだ。

Billboardの報道とAppleのビジネス予測

Billboardは今回、関係者ら3人の話としてAppleの動きを紹介している。まず、AppleはSpotifyやBeats Music対抗となるようなオンデマンド型ストリーミングサービス立ち上げを計画しているという。そして次なる施策としてiTunes for Androidアプリの提供も計画していると、複数の関係者らの話で判明したという。

AppleはPandora Mediaら新興のストリーミングサービス対抗のため、昨秋リリースのiOS 7のタイミングで「iTunes Radio」サービスを開始している。これはPandoraが「ラジオ局」の形でテーマごとの楽曲ストリーミング配信を行っているのに対抗したもので、今回のBillboardの話が事実だとすれば、Appleはさらに「楽曲/プレイリストごとのオンデマンド配信」「月額課金の無制限楽曲ストリーミング」「広告モデルを交えた無料サービス」にまで踏み込むことが予想される。

同種の動きは米Amazon.comでも参入が噂として報じられているが、Appleもまたこの分野へと足を踏み入れることになる。ただし、その場合は既存のダウンロード型サービスの売上モデルを壊す可能性も秘めており、Amazon.comのケースと同様に既存ビジネスとのバランスが重要なポイントになりそうだ。

減少するダウンロード販売の売上

Billboardは、最近のIFPIとRIAA (米国レコード協会)のデータから、iTunesの売上が最大2桁単位で減少していると推測している。