電機大手8社(日立製作所、パナソニック、ソニー、東芝、富士通、三菱電機、シャープ、NEC)の2013年度第3四半期決算が出揃った。

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8社合計の第3四半期累計(2013年4月~12月)での売上高は33兆2,641億円で、前年同期に比べて8.7%増となった。シャープが前年同期比21%増という高い成長を遂げたほか、ソニー、東芝が2桁の成長となり、回復感を感じさせるものとなった。唯一、前年割れとなったのがNEC。携帯電話の不振や、NECモバイリングおよび電子部品事業を非連結化したことなどが影響している。なお、今回の連結業績では、これまで8位だったシャープが7位となり、代わって、NECが8位の売上高規模となった。

第1~第3四半期累計ベースの売上高(連結ベース。△は損失)
2013年度第3四半期 2012年度第3四半期 前年同期比
日立製作所 6兆7,744億円 6兆4,687億円 104.7%
パナソニック 5兆6,798億円 5兆4,396億円 104.4%
ソニー 5兆9,010億円 5兆0,678億円 116.4%
東芝 4兆5,887億円 4兆0,429億円 113.5%
富士通 3兆3,523億円 3兆1,200億円 107.4%
三菱電機 2兆7,272億円 2兆5,068億円 108.8%
シャープ 2兆1,572億円 1兆7,824億円 121.0%
NEC 2兆0,835億円 2兆1,698億円 96.0%

営業利益は、全社が黒字化。ここにも回復ぶりがみられる。8社合計では1兆1,384億円で、前年同期比106.2%増と、2倍の成長率となった。営業利益率は3.4%とまだ水準は低いが三菱電機が営業利益率5%を突破。パナソニックが4.6%、日立製作所が4.4%となっている。また、富士通、シャープが前年同期の赤字から黒字転換している。

第1~第3四半期累計ベースの営業損益(連結ベース。△は損失)
2013年度第3四半期 2012年度第3四半期 前年同期比
日立製作所 2,954億円 2,319億円 127.4%
パナソニック 2,631億円 1,219億円 215.8%
ソニー 1,414億円 829億円 170.6%
東芝 1,533億円 982億円 156.1%
富士通 370億円 △15億円
三菱電機 1,431億円 1,132億円 126.4%
シャープ 814億円 △1,662億円
NEC 237億円 718億円 33.0%

四半期純利益は8社合計で5,876億円となり、前年同期のマイナス9,848億円の赤字から黒字へ転換した。パナソニックが6,238億円の赤字から2,430億円に黒字化、シャープが4,243億円の赤字から177億円の黒字に転換と、テレビ事業およびパネル事業が苦戦していた2社が黒字転換したことが影響している。唯一、最終赤字となったのがNECだが、マイナス150億円の赤字については、「計画に比べて50億円の上振れ。上期の遅れを取り戻すことができた」(NEC・川島勇CFO)と回復ぶりを強調している。

第1~第3四半期累計ベースの四半期純利益(連結ベース。△は損失)
2013年度第3四半期 2012年度第3四半期 前年同期比
日立製作所 1,951億円 943億円 206.9%
パナソニック 2,430億円 △6,238億円
ソニー 111億円 △508億円
東芝 386億円 545億円 70.8%
富士通 23億円 △952億円
三菱電機 948億円 491億円 193.1%
シャープ 177億円 △4,243億円
NEC △150億円 114億円 33.0%

その中からここでは、主要各社のテレビ事業に焦点を当ててみたい。

プラズマ撤退で収益構造が改善? パナソニック

プラズマ事業から撤退したパナソニック(写真は、兵庫県尼崎市にあるPDP工場)

パナソニックは、AVCネットワークス部門の第3四半期(2013年10~12月)の売上高が前年同期比7%増の4,137億円、営業利益は210億円増の101億円と黒字転換。製販連結での業績は売上高が6%増の4,967億円、営業損失は前年同期の188億円の赤字から、117億円の黒字へと転換した。

そのうち、テレビ事業部の売上高は前年同期比12%減の873億円、営業利益は75億円増の1億円の黒字となった。テレビ・パネル事業の連結収支では、前年同期の255億円の赤字からは改善したものの、マイナス81億円の赤字が残った。

パナソニックの河井英明常務取締役は「テレビ・パネル事業における構造改革効果が出ているほか、流通部門における固定費削減効果が寄与している」と前置きし、「パネル事業においては、非テレビ用途への展開、固定費削減、セット事業における不採算製品の絞り込みや合理化推進が効果をあげている」と、第3四半期のまでの取り組みを総括した。

だが、テレビ事業単独については「今年度は、テレビ事業をしっかりと改善させることが目標だが、進捗は若干遅れている」とし、「第4四半期以降には徹底した事業構造を行い、来年度は利益が出る形にしていきたい」と、テレビ事業における一段の改革に乗り出す姿勢をみせた。