NTTドコモと東レ、NTT(日本電信電話)は30日、新たな機能素材「hitoe」の共同開発に関する記者会見を開催した。hitoeは、着衣するだけで心拍数・心電波形などの生体情報を取得できるというもの。NTTドコモでは2014年中を目処に、hitoeを利用した生体情報計測用ウェアとスマートフォンを連携させたサービスの提供を始めるとしている。

hitoeを使用した生体情報計測用ウェア。電極や配線などが生地に埋め込まれている。最先端繊維素材のナノファイバー生地に、高導電性樹脂をコーティングして実用化した

hitoeは、導電性高分子をベースとする「繊維導電化新技術」(NTT)と先端繊維材料「ナノファイバー」(東レ)を「先端高次加工技術」(東レ)により融合したもの。生体信号を高密度に検出できる上に、耐久性にも優れている。この素材を使用した生体情報計測用ウェアを利用すれば、肌へのフィット性や通気性などを損なわずに、日常生活の様々なシーンにおいて心拍数や電波形などの生体情報を快適かつ簡単に計測できるようになるという。

hitoeは、一見すると"普通の布"と変わりがない(写真左)。これを素肌に2箇所以上密着させることで、身体の生体信号を正確に計測できるようになる(写真右)

会場では、NTT 物性科学基礎研究所主幹研究員の塚田信吾氏によるデモが行われた。生体情報計測用ウェアを着用した男性の心電図や、運動中の心拍数の上がり具合をスマートフォンの画面で確認するというもの。塚田氏によれば、就寝時に心電図・心拍数を計測することで睡眠の周期も可視化できるとのこと。利用用途の広がりが大きく期待されている。

生体情報計測用ウェアを使ったデモの様子。測定した心電図がスマートフォンの画面で確認できる

運動中の心拍数の上がり具合もリアルタイムで確認できる