Amazon.co.jpは11月26日、映像配信サービス「Amazonインスタント・ビデオ」ストアをオープンした。米国の業界大手による日本の映像配信事業参入で、既存の配信サービスも含めた争いが激化するものと思われる。日本でのサービス内容と競合との関係から、今後の動向について分析してみる。

Amazonインスタント・ビデオ

Kindle Fireを主体としたサービス、手軽さは良だが今後に期待の部分も

25日に報道各社が日本でのAmazon.comによる映像配信サービス月内参入をニュースとして出していたが、翌26日にはすでにストアがオープンしており、ユーザーが実際に試せる状態になっている。プレスリリースの紹介文によれば、東宝や松竹などの国内の映画会社やテレビ朝日やTBSなどのテレビ局による1万5000以上の作品を含む、2万6000本を超える国内外の映画/TVドラマ/アニメ作品をラインナップし、そのうち1万本がHDコンテンツになっているという。朝日新聞の報道によれば、国内でのライバルとなるGyaoが11万本、Tsutaya TVが有料4万本のコンテンツとなっており、ラインナップしだいではあるがローンチ直後の2万6000本というのはかなり頑張った内容だと考えられる。

Amazonインスタント・ビデオはストリーミング配信とダウンロード配信の2種類の形態があり、Kindle Fireの場合はオフライン状態でも事前にコンテンツをダウンロードしておくことで出先での動画視聴が可能となる。Kindle Fire以外のプラットフォームの場合、視聴はストリーミング配信に限られ、Webブラウザに加えてSilverlightのプラグインが必要となる。そのため、対応プラットフォームもWindowsとMacに限定されているほか、PC再生が可能なコンテンツはSD画質のものに限定されている。今後の対応の可能性もあるが、基本的にダウンロード配信やHDコンテンツ再生、ドルビー デジタルプラスのプレミアムオーディオ対応などは、Kindle Fire HD/HDXユーザー向けの特権ということになる。実際、Kindle Fire HD/HDX経由であればMiracastを使って大画面TVでのワイヤレス動作再生も可能になっており、Amazonクラウド+Kindleユーザー向けのサービスという体裁だ。

インターフェイスについては、まさにAmazonといった感じだ。お勧めがまとめられたトップページのほか、ジャンル別にキーワードによる絞り込み検索が可能といった、Amazonユーザーには慣れ親しんだものとなっている。コンテンツ自体はすべてPay-Per-Viewスタイルとなっており、エピソードごとにコンテンツを購入する形で視聴する。ドラマなどシリーズ物は1話のみ無料視聴可能となっていたりするが、シリーズ内の複数作品をまとめた視聴パックのようなサービスは確認できていない。コンテンツの購入では、通常の「購入」と「レンタル」の2種類があり、前者であれば購入後はいつでも視聴が可能で、後者であれば単価は安いものの「購入後30日以内」「視聴開始後48時間以内」での視聴がルールとして定められている。