中小企業基盤整備機構(中小機構)は、中小企業の製造業が一堂に会する展示会「中小企業総合展」を10月30日から11月1日まで東京ビックサイトで開催した。今年で9回目となる同展示会は約500社の企業がブースを出展し、3日間で5万5000人弱が来場者があったという。今回は、展示会の終了後に中小機構の担当者に話を聞いた。

中小機構 販路支援部 参事の中島康明氏

そもそも中小機構はどういった組織なのだろうか。ひと言でいうなら経済産業省所管の独立行政法人で、中小企業施策の総合的な実施機関としての役割を担っている。業務の1つとして挙げられるのが「中小企業のイノベーションをお手伝いすることです」と語るのは販路支援部 参事の中島康明氏。アドバイスによる経営サポートや専門化の派遣、人材育成、ファンド出資など、中小企業の経営の強化などに取り組んでいる。

製造業への支援は業務の柱の1つ。"ものづくり大国ニッポン"には質の高い製品を作る中小の製造業が多くあるが、部品を作ったり製品を加工したりと最終製品を作らない企業が大半で、"目に見えない"製品は世間に注目されづらいという問題があるという。

そういった現状を解決する取り組みとして中小機構では、中小企業の作った製品や技術を多くの人に見てもらえるように同展示会を開催している。業種で参加条件を区切ることを排除し、出展料もほかの展示会に比べて安く設定するなど、中小企業でも気軽に参加できるように心掛けているという。

中小企業が展示会に出展する機会を提供するだけではない。中島氏は「ビジネスが生まれる場になってほしい」と語る。来場者は多種多様であるが、大手のメーカーで研究開発や新規事業開発といった担当者が訪れることも多いという。高い技術力を持つ中小企業と大手メーカーと中小企業がマッチングする機会を作り出すことが大切だと続ける。

売り手と買い手が展示会場で名刺交換しただけでは、その後の取り引きには直接つながらいケースも多い。また、地方にある企業が商談のたびに大都市圏に来るのは、それだけでも時間や費用がかさんでしまうこともある。中小機構では、今後も同展示会を続けていく中で、展示会後のアフターサポートを課題として取り組んでいくという。