大人気のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』もいよいよ最終回! いつもは企業のロゴやマスコットの由来を調べている当コラム、今回は特別編ということで、あまちゃんのロゴを取り上げます。あまちゃんのロゴはどのように制作されたのでしょうか。NHK放送総局デザインセンター 映像デザイン部、岩倉暢子さんにお話を伺いました。
――『あまちゃん』のタイトルロゴはどのような経緯で制作されたのでしょうか?
ロゴデザインは、放送開始の半年前、昨年(2012年)10月に完成しました。ロゴのデザインを決定するにあたって、1カ月間ほどコンペを行いました。「あまちゃん」の筆文字だけでも6種類ほどのバージョンがあり、その中から選びました。
カッコイイ系、オシャレ系とあらゆる方向性を検討し、いくつものバージョンを作り、それはそれは、難産でした……。
――タイトルロゴをデザインしたのは誰でしょうか?
「あまちゃん」の美術を担当した、私です。筆文字は、外部のデザイン会社が筆耕したものをアレンジして使用しています。このデザイン会社は『北の海女』、『無頼鮨』、『安部そば』などの劇中ロゴも担当しています。
――タイトルロゴに込められたデザイン意図などを教えてください。
監督からは、田舎が持つ愛すべき「ゆるさ」、「ちょっと残念な感じ」を全面に出してくれとオーダーされました。
――難しいオーダーですね。プロデューサーからは何かオーダーはありましたか?
プロデューサーからは「ヒット感」が欲しいと言われました。「ゆるさ」、「ちょっと残念な感じ」、「ヒット感」という3つをキーワードにして、大友良英さんのオープニング曲の明るさと、主演・能年玲奈さんの印象を反映してデザインしました。
――文字が囲まれているデザインになっていますが?
「あまちゃん」の文字をマルで囲ったのは、「能年さん、マル!」と私からのエールのつもりです。岩手の冷たい海に飛び込み、アキを鮮やかに演じる能年さんを見て、彼女のためにデザインしようと決めました。
――そういう意図が込められているんですね!
また、円の右上が少し開いているのは、多くの方が「あまちゃん」の世界に入りこんでくださるように、と願掛けです。海女さんのヤツカリ(腰についている網)にウニがわさわさ入っている様子を見て、着想を得ました。
――この「袋」のような感じはヤツカリだったのですか。3色のグラデーションになっているのはなぜですか?
3色のグラデーションは、ロケ地・岩手県小袖漁港の朝焼けの空と海の色を取り入れています。PCで作成したグラデーションでは水面のゆらぎがうまく表現できなかったので、インクを紙に垂らして自作しました。
――なるほど。いろいろな工夫があったのですね。ご自分でロゴの出来栄えをどう思われますか?
今までありそうでなかった、ちょっと見たことのない雰囲気のロゴに仕上がって、「あまちゃん」という番組が目指す方向性を表現できたのではないでしょうか。技術的にはCMYKにした際、特色を使わず再現できる使い勝手の良いロゴを目指したのですが、この色調整が一番難しかったです。
――ありがとうございました。
いかがだったでしょうか。あまちゃんのロゴには、さまざまな想いが込められ、また工夫が凝らされていることが分かりました。ドラマのタイトルロゴを作るというのは難しいものなのですね。
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『あまちゃん』総集編
10/14(月・祝)NHK総合
前編……午前8:20~9:48
後編……午前10:05~11:35
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(高橋モータース@dcp)