既報の通り、Cypress Semiconductorは2013年4月にCortex-M0コアに強化したCTBm(通称:アナログ・ブロック)を搭載した「PSoC 4」を発表すると共に、これを利用した開発プラットフォームである「PSoC 4 Pioneer Kit」を出荷することを発表した。このPSoC 4 Pioneer Kitが筆者の手元にもやってきたので、これを使って夏休みの電子工作向け? に簡単なマルチファンクションデバイスを作ってみた。

簡単なおさらい

PSoCシリーズはCypressがリリースするアナログ/デジタル混載+MCUのSoCである。PSoCの名称はProgrammable System-on-Chipの略称であり、現在PSoC 1/3/4/5の4ファミリーのラインアップが用意されている。MCUアーキテクチャとしてはPSoC 1が同社独自のM8C、PSoC 3が8051、PSoC 4がCortex-M0、PSoC 5がCortex-M3と徐々にARM系に統一されてきている。

PSoCシリーズの特徴はこのMCUコア以外の部分にある。CTBmやUDB(Universal Digital Block)と呼ばれる、様々な用途向けに利用できる汎用ブロックを搭載している。特にUDBの方はDBB(Digital Basic Block)とDCB(Digital Communication Block)の2種類に分類されるが、これは何かといえばFPGAのロジックセルをもっと高機能にしたもの、という説明がおそらく一番しっくりくる。もちろんセル数そのものはFPGAよりもずっと少ないので、大規模システムを作るのには向いていないが、MCU+PLDを1チップに収めた、というのが一番すっきりする説明であろう。

さてこのファミリーの最新版がPSoC 4で、CPUコアはCortex-M0であるが、PSoC 3/PSoC 5がデジタル周りの強化に注力していたのに対し、PSoC 4ではなるべくシンプルとなるようにデジタルを構成し、その分アナログ機能を強化した比較的良いバランスになっている。

このPSoC 4シリーズのうち、「CY8C4245AXI」を搭載した評価キットがPSoC 4 Pioneer Kitである。残念ながら本稿執筆時点(2013年8月1日)では店頭販売などは無いが、幾つかのメーカーが通販を行なっているし、Cypress Storeから直接購入可能である(ちなみに製品そのものは世界中送料無料で発送してくれるが、開発キットは例外ということで、日本への発送には35ドルほど送料が掛かる)。

筆者の経験では、 FedEx International Economyを使って発注後一週間ほどで届いた。ちなみに海外でよければMOUSER Electronicsに同じく発注を掛けたところ、FedEx International Priorityでなんと48時間未満で到着した(送料はなぜか2000円)。そんな訳で、比較的入手そのものは容易である。ちなみに7月30日よりPSoC 4 Pioneer Kitキャンペーンが開催されており、無償でキットを入手できる「可能性もある」ということで、これに賭けてみるのも悪くないと思う。