マイナビの無料電子雑誌「Creative Now」が企画するクリエイターセミナー「はじめてのソングライティング "アーティスト"ができるまで」が都内にて開催された。講師を担当したのは、多数の女性アーティストや声優に楽曲を提供し、自身もアーティストとして活躍する山田稔明氏。

音楽制作ワークフロー全般を徹底解説

山田氏を講師とした音楽制作セミナーは今回で4回目。これまで作詞、作曲など毎回違ったテーマで開催してきており、今回のテーマは、音楽制作とその裏側。アーティスト自身の口から、楽曲が制作されてから作品としてリリースされるまでのワークフローが語られた。また、今回はゲストとしてヤマハミュージックパブリッシングの制作ディレクターを務める岡田純氏が登場。音楽制作におけるディレクターの役割などを満員のセミナー参加者に語った。

セミナーの講師を務めたアーティスト 山田稔明氏

ゲストとして登場した音楽ディレクターの岡田純氏

セミナーでは、岡田氏が担当する 谷山浩子、矢井田瞳、新人バンド たんこぶちんなどのアーティストの音楽制作事例を紹介。「ベテランアーティストに、いかにして新路線を提案するか」、「新人発掘から育成、メジャーデビューまでの道のり」など、現役ディレクターならではの視点から様々な音楽制作ワークフローが語られた。

音楽ディレクターの役割を解説する岡田氏。音楽制作のスケジュール管理から、プロデューサーなどのスタッフ人選、レコーディングの予算管理など、その業務は多岐に渡る

音楽にまつわるお金の話も披露

岡田氏と山田氏が手掛ける新人アーティスト 立花綾香さん(※芸名未定)

また、「音楽ディレクターとプロデューサーの役割の違い」や、「アーティストの印税配分」、「作品の原盤権がどのように決定され管理されているのか」、「レコードィングにはどれだけの費用がかかるのか」など、音楽誌やテレビでは絶対に知ることの出来ない貴重な裏話も披露され、中でも複雑に権利の入り組む楽曲の著作権や原盤権に関するトークでは、参加者からの細かい質問が相次いだ。

セミナー後半には「最も最近の実例」として岡田氏がディレクターを担当し、山田氏にプロデュースを依頼している20歳の新人女性アーティスト 立花綾香さん(※芸名未定)が登場。東京での初ライブとして、山田氏が提供した楽曲を披露した。セミナーで解説された新人発掘~育成~メジャーデビューという流れを現在進行形で辿っている本人の登場に、セミナーの参加者も驚きを隠せない様子だった。

音楽制作に大切なこととは

山田稔明氏の最新作『新しい青の時代』

セミナーの最後に岡田氏は音楽ディレクターという仕事に対するスタンスを語った。岡田氏が普段ディレクション業務で常に心がけているのは「アーティストに対してのみならず、すべてにおいて嘘をつかず、誠実に向き合い真摯に対応していく」ということ。「活動におけるマイナス面や欠点などもしっかりとアーティストに伝えたうえで、信頼関係を築き共に音楽制作を進めていくことが大切」だと岡田氏は考えているとのこと。

山田氏は「アーティストとしてもプロデューサーとしても、ディレクターなどのスタッフとの強い信頼関係は、音楽制作において最も大切な要素のひとつ。自分はバンド時代はメジャーレーベルで多くのスタッフと仕事をして、ソロである現在はほとんどの業務をひとりでやっています。両方を経験して、信頼できるスタッフのありがたみを強く感じています」と自身の経験を交えて語った。

山田氏が講師を勤める音楽セミナーは2013年8月以降も順次開催予定とのこと。なお、山田氏は2013年7月7日に3作目となるソロアルバム『新しい青の時代』をリリースする。