BenQ(ベンキュー)は、COMPUTEX TAIPEI 2013の開催にあわせて、同社の台湾本社オフィスで製品発表会を開催した。ワイヤレスHDMIを標準で内蔵する高機能プロジェクタや、日本のEIZOやNECを意識したという映像のプロ向け液晶ディスプレイ、フリッカーフリー技術を採用し目に優しい液晶ディスプレイなどの新製品が登場していた。

「W1500」は、フルHDの映像・音声を無線転送できるWHDI規格を利用したという家庭用高性能プロジェクタ。付属のHDMIドングルをプレイヤー側のHDMI出力に装着することで、1080pのHDMI転送をワイヤレス化できる。3D立体視映像の出力にも対応する。無線で転送できる距離は10メートルまでサポートするが、同社によれば20メートル程度までは大丈夫だそうだ。投影サイズの目安は2メートルで84インチ。今年の第3四半期に発売で、価格は2,199USドルを予定している。

W1500

再生機側のブルーレイプレイヤーにワイヤレスHDMIのドングルを装着して転送する

W1500の主なスペック一覧

1080pのフルHDでHDMIを無線化できるほか、専用メガネによる3D立体視用の出力にも対応する

プロジェクタではもうひと製品、教育市場をターゲットとした「MX819ST」も登場した。こちらは、本体側に赤外線センサを装着し、専用のペンデバイスと組み合わせることで、投影した映像に対して、黒板に書き込むようにペン書きができるというもの。ペン入力の同時認識数は最大4本まで。ペイントアプリケーションなどと連携し、単なるオーバーレイではなく、実際にデータとして書き込みを行う様子もデモンストレーションしていた。こちらは今年の第3四半期に発売、価格は未定。

MX819ST

本体装着の赤外線センサと専用ペンデバイスで、投影画面にペン入力できる

液晶ディスプレイでは、発売されたばかりのRTSゲーム最適化モデル「RL2455HM」の実際のゲームプレイデモを披露するなど、同社が得意とするゲーミングディスプレイは相変わらずアピールしていたが、今回注目したいのは、プロ向けディスプレイだ。日本のEIZO(ナナオ)や、NECなどが強みを持つこの分野に、同社としてもチャレンジを試みたいという意向があるそうだ。

ゲーミング用途で人気の「RL2455HM」(左)や「XL2720T」(右)のデモもあったが、今回の主役はプロ向けディスプレイ

「PG2401PT」は、24.1型1920×1200ドットのカラーマネジメントディスプレイ。主にCGクリエイターやイラストレーターなどグラフィックスのプロフェッショナルがターゲットだ。10ビットのIPSパネルを採用し、出荷時キャリブレーション済み、Adobe RGB 99%とCMYKカラー領域100%、オプションでのハードウェアキャリブレーションキットなどに対応している。今年の9月に発売で、価格は1,200USドルを予定している。

24.1型1920×1200ドットのグラフィックス用途向け液晶ディスプレイ「PG2401PT」

主なスペック

「PG2401PT」の背面

「BL2710PT」は、27型2560×1440ドットの液晶パネルを採用する、こちらはCAD/CAM用途のプロフェッショナルがターゲットとなる製品だ。後述するフリッカーフリーの技術を用いたことで、長時間の集中作業でも目への負担が減るよう工夫されている。大型パネルだが視野角が上下左右178度と広いことも特徴だ。こちらは今年の第3四半期に発売、価格は未定。

こちらはCAD/CAM用途の「BL2710PT」

具体的な製品そのものではないが、同社の液晶ディスプレイで採用を進める新技術として発表されたのが、フリッカーフリー技術だ。同社の担当者によれば、日本のメガネ市場で、ブルーライトを遮る"PCメガネ"(JINS PCやZoff PCなど)が流行していることをヒントに、目に優しい技術を液晶ディスプレイ自体で強化できないかと開発したものだそうだ。

独自のフリッカー抑制技術の発表もあった

フリッカーは、リフレッシュレートに起因する画面のちらつき現象で、ブラウン管に比べると液晶では大きな問題にはなっていなかったが、まったく発生しないわけではない。独自に、電圧のかかるタイミングや電圧のブレのスムージングを行うことで、このちらつきをより抑えたというのが、同社のフリッカーフリー技術だそうだ。

液晶リフレッシュがスムーズで、フリッカーが少ないことを示すというデモンストレーション。液晶正面で動作させた扇風機のファンの残像が、写真左では節目がはっきりわかるが、写真右ではほとんど均一になっている。もちろん右がフリッカーフリー適用液晶のものだ

このフリッカーフリー技術、先のBL2710PTではすでに採用済みで、今後はこの技術を同社製の液晶ディスプレイの全モデルに搭載していく計画だそうだ。さらに、現行製品についても今年第3四半期以降の出荷ロットについては順次同技術搭載のものに切り替えていくという計画もあるとしていた。

ほか、台湾のBenQでは、日本でも知られる液晶やプロジェクタだけでなく、デジタルカメラやインテリア照明など幅広い新製品を展開している、という展示発表もあったりした