既報の通り、5月28日より東京メトロ全線でWiMAX通信が利用可能となった。これに伴い同日、UQコミュニケーションズは東京駅に設置されたWiMAXの設備を報道関係者に公開した。本稿で紹介したい。

東京メトロ丸ノ内線。東京駅のホームに設置されたWiMAXのアンテナ。直径110mm、長さ305mmで円柱の形をしている。東京メトロの各駅に、こうしたアンテナが設置されている

同日公開されたのは、東京メトロ丸ノ内線・東京駅のホームおよび改札付近に設置された設備。ホームの設置カ所では、2方向にアンテナが吹いているのが確認できた。ひとつはホームに向けて、もうひとつはトンネルに向けて吹いているという。東京駅のホームにはこのほかにも2カ所、合わせて5本のアンテナが設置されている。

丸ノ内線。東京駅のホームの様子。列車の運行のために東京メトロが設置している機材(カメラやワイヤレスマイクなど)を避けた場所にWiMAX用のアンテナが設置されている

現場では建設に携わったUQコミュニケーションズの担当者に直接話を聞くことができた。ホームに設置されたアンテナでは、500mほどのエリアをカバーできるという。丸ノ内線の場合、ホームの長さは200m前後、一車両の全長は20m程度とのことなので、そのカバーエリアの長さが想像できるだろう。トンネルやホームの形状により、設置するアンテナの本数も変わる。WiMAXでは直進性の高い2.5GHz帯の電波を利用しており、トンネルがカーブしているような場所では壁に当てて反射させる工夫なども行っているという。「大きく曲がっている、あるいは高低差があるような区間で電波が弱くなることもありますが、通常の利用には支障ありません」(担当者)とのことだった。

このほか、同社が東京駅に設置しているWiMAXの設備は改札口付近に1カ所、天井裏に3カ所ある。改札口付近には、無指向性のアンテナが設置されているのが確認できた。半径200mの範囲に電波が届くという。

改札口付近の天井に設置されている、無指向性のアンテナ

設置工事のために許されたのは、終電から始発までのごくわずかな時間帯。それでも「東京メトロの協力を得てほぼ計画通りに工事を進めることができた」(担当者)。東京メトロで初めてWiMAXの利用が開始されたのは2012年3月31日のことで、当初は丸ノ内線 中野富士見町駅構内での利用に限られていた。それから1年2カ月かけ、東京メトロ全線での利用が可能になったことになる。