『信長の野望・創造』のメインビジュアル

コーエーテクモゲームスは14日、神奈川県・日吉本社にて、『信長の野望』のシリーズ30周年記念イベントを開催。『信長の野望』最新作の発表に加え、同社ゼネラル・プロデューサーのシブサワ・コウ氏や歴ドルの美甘子を迎えてのトークショーなどが行われた。

今回発表となった『信長の野望』シリーズ最新作『信長の野望・創造』は、「新時代の創造」をコンセプトに、織田信長が成し遂げられなかった天下布武、新しい世界の創造をプレイヤー自らの手で作り上げていく歴史シミュレーションゲーム。美しくリアルに進化する城下町や、多数の軍団が入り乱れるダイナミックな合戦、ドラマティックなイベントといった、前作『信長の野望・天道』以上の内容となっている。プレイヤーは、織田信長や武田信玄など戦国大名の1人となって采配をふるい、内政や合戦、外交などを巧みに行い、並みいる強敵を打ち破り、戦国大名の夢であった天下統一を目指すことが目的となる。対応機種は、シリーズ初となるWindowsXP/Vista/7/8とPS3での同時リリース。発売は2013年中で、さらなる詳細発表は夏休み頃を予定している。

左から歴ドルの美甘子、ゼネラル・プロデューサー シブサワ・コウ氏、プロデューサーの小笠原賢一氏

『信長の野望・創造』のスクリーンショット

さらに、『信長の野望』30周年を記念した「『信長の野望』歴代タイトル全集(仮称)」の発売も明らかになった。本作は、初代『信長の野望』から『天道』まで全13作(パワーアップキットの内容も含まれる)が詰まった豪華パッケージで、1枚1枚をピクチャーレーベルに収め、歴代のサウンドトラックを収録した音楽CDや、歴代のパッケージを集めた特製アートブックなどをセットにしたもの。さらにコーエーテクモゲームスの「GAMECITY オンラインショッピング」では、オリジナル火縄銃のレプリカが付属する「豪華限定版」も用意される。対応機種はWindowsで、発売日は9月20日を予定。

そのほか、『信長の野望』30周年キャンペーンの新情報としては、『信長の野望』のクラシックコンサートの開催や、映画『劇場版 タイムスクープハンター』と『信長の野望 Online』などとのコラボ企画、世界的なデザイナー山本寛斎氏によるコラボレーション衣装が『信長の野望・創造』に登場することも決定。さらに、本能寺の変が起こった6月2日に新観光スポット「信長茶寮」(場所:京都本能寺後)がオープンすることも明らかに。詳細情報は『信長の野望』30周年記念サイトで公開されている。

発表会に展示されていた「『信長の野望』歴代タイトル全集(仮称)」のピクチャーレーベルと、「豪華限定版」の火縄銃のレプリカ

『信長の野望』30周年の新キャンペーン情報も続々と公開

発表会に登場したゼネラル・プロデューサーのシブサワ氏は、最初のあいさつとして、まず「あっという間の30周年。1983年3月30日に初代『信長の野望』が発売されて口コミで広まり、年末に大ヒットとなったことを今でも覚えています。『信長の野望』はユーザーに育てていただいたタイトルです」とファンへの感謝の気持ちを述べた。

その後、『信長の野望・創造』のプロデューサーの小笠原賢一氏によるゲームのプレゼンテーションへ。本作のコンセプトは「新時代の創造」で、セールスポイントは「リアリティ」「ダイナミック」「ドラマティック」の3つ。「リアリティ」の部分は、3Dビジュアルマップを採用することはもちろん、ゲームを進めると領国・城下町がリアルに変化するほか、視点は城を見下ろすイメージで、城下町から日本全土までをシームレスに切り替えられるという。

ゼネラル・プロデューサーのシブサワ・コウ氏

「ダイナミック」の部分に関しては、緊張感溢れる当時の合戦をリアルに再現するため、兵力の集め方や配分の仕方を細かく設定し、複数の城から複数の戦力を集め、多面的な攻撃が可能になったとを解説。このシステムによって従来シリーズで見られた"内政によって大兵力を集めて力で押す"という戦略は通用しなくなっているという。また、今回はシリーズ最多の300以上の城が登場する予定。

3つ目の「ドラマティック」の部分について。これまではさまざまな歴史事象がムービーなどで表現されてきたが、本作ではクエスト的に挑んでいくシステムを採用。当時の状況をよりリアルに再現し、あたかもプレイヤー自身が歴史を動かしているような気分が味わえるという。また、歴史ファンのニーズに応えるべく、発売後はダウンロードコンテンツの配信も予定している。

プレゼンテーションに流れた『信長の野望・創造』の資料

イベントは、シブサワ氏と小笠原氏に加え、ゲストMCの歴ドル・美甘子を交えてのトークショーへ。シブサワ氏は、初代『信長の野望』について「1983年まではアーケードとPCでのゲームソフトが中心だったが、7月にはファミリーコンピュータが発売され、今のゲーム業界の原型となるようなゲームが揃った」と当時を振り返りながら、「当時はアクションゲームが主流だったが、私はもっと戦略や戦術を楽しめるようなゲームを作りたいと思っており、加えて歴史も好きだったので、それが『信長の野望』へとつながっていった」とシリーズの原点について語った。

さらにシブサワ氏は、今のコーエーテクモゲームスが、まだパソコンショップ「光栄マイコンシステム」だった時代の貴重な写真を披露し、「栃木県足利市の田舎の山奥に実家があり、洋間をオフィスにしてベーシックのプログラムを打ち込んでいました」と説明。さらに、ユーザーからの強い要望で、初代『信長の野望』は、最終的に38種類のパソコンに移植したというエピソードも飛び出した。これだけの移植作業だと相当な労力がかかるはずだが、シブサワ氏は「ゲームは遊ぶのも楽しいですが、作るのも楽しい」と笑顔で答えていた。

MC初挑戦で最初は緊張気味だった歴ドル・美甘子

「光栄マイコンシステム」時代の貴重な写真を披露。車の後ろに当時32歳のシブサワ氏の姿が

そのほか、『信長の野望』のコラボレーションタイトルについても言及。「『ポケモンの野望』はポケモンの石原恒和社長が、『AKB48の野望』は秋元康氏がそれぞれ『信長の野望』の大ファンと言うことで実現しました。今後もコラボレーション作品は続けていきたい」と展望を語った。さらに、『信長の野望』をはじめとした"歴史"の魅力について、小笠原氏は「実際、過去に起きた事象が何百年にも渡って語り継がれていること。その前提があって、ゲームをプレイする際には、ユーザーの知識と結びついて楽しく感じられる」、シブサワ氏は「戦国の混乱の中で生き抜いてきた英雄や武将たちに魅力を感じる。また、ゲームではIFのストーリーが楽しめ、そこも醍醐味」と、それぞれの想いを明かした。

そしてシブサワ氏は、「信長は創造と破壊を繰り返して時代を上り詰めた。今回は創造にスポットを当てることで、彼が何を考えて行動してきたのかをプレイヤーも同じ気持ちになって時代を築いてみてほしいという思いから」と本作『信長の野望・創造』のタイトルの由来を説明。小笠原氏は「本シリーズのファンであった頃から20年間の知識を"創造"に詰め込みました。しばらく『信長の野望』から離れていたファンにも面白いと思ってもらえるタイトルを目指します」と全力でこのタイトルを制作することを宣言している。

『のぶニャがの野望』は開発プロデューサーの冗談から生まれたプロジェクトだが、シブサワ氏は「私の発想では出てこなかった」タイトルとして非常にお気に入りだという

シリーズ5作目『信長の野望・覇王伝』が映し出されるとシブサワ氏は「ああ、なつかしいですね」と感慨深げにパッケージを眺めていた

最後にシブサワ氏は「ファンの期待に答えるべく、小笠原とタッグでゲームを作り上げていきます。前作『天道』のいい部分を引き継ぎながら、オリジナリティ溢れる作品に仕上げていきますので、ご期待ください」と締めくくった。なお、今回の発表会の一部は、後日WEBでの放送も予定されている。

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