エンタープライズからコンシューマ領域までさまざまなバックアップソリューションを提供するAcronis(アクロニス)であるが、今回、シンプルで手軽なバックアップソフトをリリースした。同社には、すでに「True Image 2013 Plus by Acronis」という個人向けのバックアップソフトがある。「True Image Lite 2013 by Acronis(以下、True Image Liteと略記)」は、そこから必要最低限の機能に絞り込んだバックアップソフトといえるのだ。本稿では、その基本機能を紹介しよう。

True Image 2013 Plusとの機能の違い

まずは、True Image 2013 Plusとの機能の違いなどをみていこう。以下の機能がTrue Image 2013 Plusから削除されている。

  • PCのすべてのデータのバックアップと復元
  • 一歩進んだバックアップ
  • ファイルの同期
  • 異なるモデルのPCへの移行
  • 複数のデバイスでファイルを同期

大きな違いは、HDDのイメージバックアップ機能がないといえる。Windows 8では、バックアップは、必要なファイルのみ行うというファイルバックアップがメインとなっている。それに合わせたともいえるであろう。システム要件であるが、対応OSは以下の通り。

  • Windows XP SP3
  • Windows XP Professional x64 Edition SP2
  • Windows 7 SP1(全エディション)
  • Windows 8(全エディション)

サポートされるファイルシステムは、FAT16/32、NTFSでLinuxなどはサポートされない(True Image 2013 Plusではサポート)。サポートするストレージは、以下の通りである。

  • 内部HDD
  • USB(USB 3.0を含む)、eSATA、FireWire(IEEE-1394)、SCSIなどのインターフェイスを持つ外部HDD
  • ソリッドステートドライブ(SSD)
  • ネットワーク上のストレージデバイス

機能を絞ったことで、価格も3,000円(税別、AcronisのWebサイトでのダウンロード販売)と非常に安価に抑えられている。徹底的にバックアップをソリューションするTrue Image 2013 Plusは、Acronisのオンライン販売では5,800円(税別)となっている。また、ボリュームディスカウントも用意してある。True Image 2013 Plusと同じく、バックアップ先として利用可能なオンラインストレージも用意されている。250GBで月額480円、年間が4,800円となっている。

True Image Lite 2013でオンラインバックアップ

インストールであるが、特に難しいことはないであろう。画面の指示通りに進めばよい。最初に起動するとAcronisアカウントの作成となる(図1)。これは、バックアップ用のオンラインストレージの設定でもある。体験版でも製品版でも、30日間無償で利用できる。

図1 Acronisアカウントの登録

メイン画面は、図2のようになる。

図2 True Image Lite 2013のメイン画面

インストールしたばかりなので、バックアップが見つからないと表示される。非常にシンプルで、バックアップ先をローカルのHDDなどにするか、先ほど設定したオンラインストレージに行うかの選択となる。ここでは、オンラインストレージにバックアップしてみよう。[オンラインノンストップバックアップ]を選ぶ。すると、バックアップすべきフォルダの選択となる(図3)。

図3 バックアップフォルダの選択

保存データの多くは、ライブラリや自身のドキュメントフォルダに保存される。このあたりを適切に選択していく。もちろん「コンピュータ」から、任意のフォルダも選択可能である。左下の[バックアップオプション]で、バックアップの設定が可能である。[バックアップ]タブでは、保存するバックアップの履歴や暗号化キーが設定できる(図4)。

図4 [バックアップ]タブ

[パフォーマンス]タブでは、処理の優先順位やネットワークの転送速度などを設定する。オンラインバックアップでは状況によっては、PCに負荷をかけることになる。そこで、バックアップ処理やネットワークの利用を制限することで、使用中のプロセスの負荷を軽減する(図5)。

図5 [パフォーマンス]タブ

[通知]タブでは、処理に応じてメールを送信する設定を行う(図6)。

図6 [通知]タブ

[除外]タブでは、バックアップから除くファイルを設定する。ここでは拡張子がbakのファイルも除外してみた(図7)。

図7 [除外]タブ

オプションでは細かな設定も可能であるが、デフォルトでもほとんど問題ない。わからなければ、デフォルトでもいいだろう。[今すぐバックアップ]をクリックすると、バックアップファイルが構成され、バックアップが開始される(図8)。

図8 オンラインストレージにバックアップ中

バックアップが完了すると、図9のようになる。図8にもあるように、6~8Mbps程度の転送速度であった(筆者の環境)。500MB程度のバックアップが10分かからない程度であった。他のオンラインストレージサービスなどと比較しても高速という印象を受けた。このあたりも評価したい。

図9 バックアップ完了