11日未明、iOS 6に標準装備の地図アプリ「マップ」のデータが更新された。作業はクラウド上で完結するためユーザ側の作業は不要、通常どおりアプリを起動すれば更新後のデータが利用される。早速、データがどのように変わったかレポートしよう。

「マップ」の改良は既定路線

iOS 5までの安定感あるGoogleマップと訣別し、AppleはiOS 6から「マップ」に独自の地図データを利用しはじめた。描画をそれまでのビットマップからベクターベースに変更したり、一部大都市では建築物が高速に3D描画されたりなど、地図ビューアとしての「マップ」の機能に見るべき点は多いが、位置情報に関する信頼性は大幅に低下したと断じざるをえない。

その問題点を挙げるときりがない。JR青梅線昭島駅近くには実在しない「パチンコガンダム駅」が表示される、東京国際(羽田)空港が大王製紙と表記される、日本固有の地名が表示されるべき位置にハングルや簡体字が見える……問題の数だけでなく誤りが致命的なことから、メディアにはAppleという企業の開発体制まで論じられる事態となった。

そしてiOS 6のリリースから約半年が経過した3月11日、予告なしに「マップ」のデータが更新された。データはクラウド上に存在するため、ユーザによるアップデート作業は不要、いつもどおり「マップ」を起動するだけで新しい地図データを参照できる。データ量が膨大なだけに、問題点がすべて解消されたか否かの検証には時間を要するが、少なくとも前述の箇所はすべて修正されていた。

今回の更新について、Appleは特にコメントを発表していない。改善は随時行うという従来の方針に沿ったものであり、その意味で「既定路線」だ。とはいえデータの精度は格段に向上しており、入念に準備された更新であることは確か。次ページ以降で、その詳細を見てみよう。

3月11日の地図データ更新以前に、新橋駅付近を表示したところ。浜離宮内に駅がある、画面右下にはハングルが見えるなど、これだけの範囲で複数の問題点を発見できた

建物の3Dデータも大幅に増加、以前は平面的に表示されていた国会議事堂も立体的になっている