昨年11月に欧米、オーストラリアで販売開始になったGoogleの「Nexus 4」。Android 4.2 Jelly Bean世代のNexusスマートフォンである。既存のNexusユーザーからは「特徴に乏しい」という声が聞こえてくる。たしかに前の3製品(Galaxy Nexus、Nexus S、Nexus One)に比べるとハードウエア面の魅力が薄い。それでもGoogleの野心が伝わってくるAndroidスマートフォンであり、だからこそ米国では発売直後から品切れ状態が続いている。まずは外観と仕様を紹介しよう。

Nexus 4

AppleのiPhone 4/4Sと同じように本体をガラスで挟み込んだ構造で、手にすると持ちやすさにこだわったデザインであるのがわかる。タッチスクリーン側は端から端までガラスで覆われていて、左右のエッジ部分でガラスがなめらかにカーブして本体に接合している。エッジに指が引っかかることなく、端から端までスムースにタッチ操作できる。タッチスクリーンのガラスはGorilla Glass 2だ。背面はエッジのシャープさが残るようにカットされていて、うまく手のひらや指に引っかかる。4.7インチの大きなディスプレイを備えるものの、ホールド感は良好だ。一般的な男性の手なら片手でも操作できる。

ハードウエアパートナーはLG、同社のOptimus Gがベースになっている

背面はフラット、背面にスピーカーホールがあり、手に持った状態では手のひらに反響してうまく響くが、机に置いたときは音がこもってしまう

タッチスクリーンを覆うガラスが左右のエッジで丸まってベゼルと接合しており、エッジ部分でも指が引っかからず、なめらかに操作できる

本体の外枠はラバーに近い素材ですべらず、手に持って安定する。背面は角度を変えながら光を当てるとホログラムパターンが浮かび上がる

ディスプレイは、解像度が1280×768 (320ppi)のIPS液晶だ。8メガピクセルのメインカメラで撮影した写真などが、大きな画面でシャープに表示される。高密度であるためか、ディスプレイを明るくしないと鮮やかさに欠けるところがあるものの、写真や動画が大きく表示されるのはうれしい。Retinaディスプレイ搭載のiPhone 4Sを使っている家内がうらやましがるほどだ。Androidスマートフォンのディスプレイがどんどん大きくなって、スマートフォンとして使いづらくなる傾向に個人的には良い印象を覚えていなかったのだが、Nexus 4の持ちやすさと操作性ならむしろ大きな画面の魅力を感じる。

右側面に、スリープおよび電源のオン/オフ・ボタン

左側面に、音量調節用のロッカーボタンとMicro SIMカードスロット

上部に、3.5ミリ・ヘッドセット端子とマイク

底部に、マイクロUSB端子とマイク

プロセッサは、クアッドコアCPUのQualcomm Snapdragon S4 Pro (1.5GHz)、グラフィクスはAdreno 320だ。RAMは2GB。メモリーが潤沢なため、マルチタスクでアプリがきびきびと動作する。ユーザーインターフェイスの反応性の改善がAndroidの長年の課題となっていたが、日本語入力の際などに見られたもたつきもなく、ストレスなく操作できる。バッテリーの持ちは標準的だ。普通に使用して、なんとか1日保つ程度。2100mAhと大きな容量のバッテリーを備えているが、消費電力も大きいようだ。

カメラが使いものになっているのはうれしい誤算だった。暗いシーンにも粘り強く対応し、Android 4.2.1の組み合わせだと撮影設定を切り替えやすい。Nexus携帯を使っている時、これまで写真や動画の撮影に関しては「iPhoneを使いたい!」と思うことが多かったが、Nexus 4で十分と思える。

Android 4.2.1のカメラは、画面上で焦点を合わせながら同時に撮影設定も変更できる

Nexus 4は素性の良いAndroidスマートフォンである。しかし、「Nexus 4を勧めるか?」と聞かれたら、Android 4.2.1を使える数少ない端末であることを除けば、特にNexus 4を強く推す理由は見当たらない。Linpack for Androidのスコアは162.492、SunSpider 0.9.1は1973.0ms。現時点で市場にあるAndroid携帯の中で最上位グループのスコアを出してはいるものの、特に飛び抜けた存在ではない。SamsungのGalaxy Note llやHTCのOne X、MotorolaのRAZR MAXXなど、性能面で同等またはNexus 4を上回る製品がすでにいくつも存在する。また他に先んじてNexus 4に採用された機能もなく、Nexusを冠するスマートフォンなのに、Androidスマートフォンのフラッグシップ端末という感じが薄い。しかもNexus 4はLTEをサポートしていないため、米国でVerizonおよびSprintのLTEサービスを使用できたGalaxy Nexusより機能で劣るという指摘もある。

Nexus 4は、本当にNexusスマートフォンと呼べる存在なのか? 後編ではNexus 4の存在意義を推察する。

人気の理由は端末価格? Googleのリファレンス機「Nexus 4」を試す


・後編はこちら「http://news.mynavi.jp/articles/2013/01/17/nexus4_02/

(記事提供: AndroWire編集部)