既報の通りNTTドコモは、2012年冬モデルの新製品を発表。社長就任後初の製品発表会に登場した加藤薫社長は、「最高スペックのスマートフォンから使い慣れたiモード携帯まで、どんなニーズにも応えられるラインナップ」と強調した。同社が今回発表したのは、Androidスマートフォン9機種、Androidタブレット1機種、モバイル無線LANルーター1機種、iモード携帯電話4機種、フォトパネル1機種の計16機種。
発表会には、NTTドコモの加藤薫社長(中央)のほか、CMキャラクターとして、デビューの頃にドコモCMに出演した広末涼子さん(左)と清水くるみさんが登場。広末さんはポケットベルのCM以来のドコモユーザーだという |
5つの強化ポイント
加藤社長は、就任時の会見で「スピード & チャレンジ」を掲げ、新製品、新サービスを投入し、かねてからの目標である総合サービス企業としての位置づけをさらに強化していく方針を示している。「携帯を手のひらのパートナーとして、お客様の生活を便利に、効率的にしたいという夢に向かっていきたい」(加藤社長)。今回の新製品では、スマートフォン・タブレットにおいて5つの強化ポイントをあげる。1つ目はLTEサービス「Xi(クロッシィ)」対応の強化で、スマートフォンとタブレット10機種で、すべてXiに対応。他社がLTEの通信サービス名に「LTE」を加えている中、ドコモは「Xi」としてきたが、新たに「docomo LTE」というロゴを新設し、LTEサービスとしてのXiをアピールする。
加藤社長は、「すべての端末でLTEの高速通信が利用できるし、テザリングも追加料金なく使える」と他社との相違点をアピールする。「Xi提供から2年がたち、この間、多くのユーザーの声を元に、Xiスマートフォンを着実に進化させてきた」と加藤社長。「Xiネットワークを最大限に生かすことができるスマートフォン」が新製品だという。
Xiネットワークの強化として、現在の下り最大75Mbpsの通信速度を下り最大100Mbpsまで高速化する。現在は通常エリアで5MHz幅(37.5Mbps)、一部エリアで10MHz幅(75Mbps)となっているが、これを15MHz幅に拡大し、100Mbpsを実現する。理論的には112.5Mbpsだが、今冬モデルではスペック的に100Mbps止まりで、「来春ぐらいには」(加藤社長)、112.5Mbpsまで高速化できるという(LTEの通信速度は、周波数の帯域幅を増やすことで高速化できる)。ただし、15MHz幅を確保できるエリアが限られるため、当初は北陸、四国、沖縄などの一部地域にのみとどまり、今年度末までに東北地方でもサービスを提供する。冬モデルの発売と同時に開始する予定だ。
同社では、2012年度末までに、基地局数は23,000局まで拡大する予定で、当初計画の21,000局より拡大する。人口カバー率は約75%に達する予定で、これも当初の70%から広がることになる。この時点で、全国政令指定都市の人口カバー率は100%に達する見込みだ。これまでXiで使っていた2GHz帯の周波数帯に加え、800MHz/1.5GHzも利用し、全体としてスループットも向上する、という。
そのほか、新幹線8路線104駅全駅、国内主要空港28をエリア化。限定的だった75Mbps対応エリアを、全国県庁所在地に拡大する。
加藤社長は、「エリア構築、基地局の設置場所、チューニングなど、2年間で着実にノウハウを蓄積してきた」と先行してLTEサービスを提供してきた優位性をアピール。「つながるエリア、使えるサービスをしっかり提供していく」と強調している。
2つ目の特徴として、スマートフォン5機種、タブレット1機種でクアッドコアCPUを搭載。端末の処理性能を向上させ、高速通信を生かしたサービス、3Dグラフィックを多用したゲームなどでも快適に動作する点をアピールする。
3つ目は電池容量で、2,000mAhを超える電池を搭載したスマートフォンを5機種に拡大。 バッテリの保ちが悪いとされるスマートフォンでも、長時間動作が可能なように配慮した。冬モデル全体の平均では、夏モデル比で23%の増量となる2,140mAhとなり、ラインナップ全体で大容量化を図った。
さらに、従来品に比べて1.5~2倍の充電速度を誇る急速充電器も提供。例えばN-03Eでは30分で400mAhの充電となっていたが、これが800mAhと倍の充電速度となる。「大容量バッテリと急速充電で、もっとスマートフォンをアクティブに利用できる」と加藤社長はアピールする。
4つ目はモバイル端末向け放送「NOTTV」対応モデルの拡大で、今回は7機種が対応する。番組ラインナップも強化し、アニメ映画「ワンピース」の公開を前に、オリジナル番組を放送する。海外サッカー中継も放送する。
5つ目がNFCへの対応だ。非接触通信規格のNFCは、国内ではFeliCaを使ったおサイフケータイが一般的だが、海外ではNFC Type A/Bという2つの規格が主流。このType A/Bに対応した端末を5機種用意する。決済系のサービスは、従来通りおサイフケータイに任せながら、今後拡大が期待される家電・機器連携やポスターにかざしてURLなどを取得するスマートポスターといったサービスでNFCも活用する。「おサイフケータイ」と同様に「かざしてリンク」という名称で、NFCの利用シーンをアピールしていく考え。
Type A/Bは、NFCタグを使ってポスターなどから情報を取得する機能と、おサイフケータイと同様の決済機能もあるが、まずは情報取得機能を中心にする。決済機能を備えたスマートフォンは2機種だけで、まずは「かざしてリンク」で訴求する考え。ちなみに、FeliCaチップは本体内、NFC Type A/BチップはSIM内に搭載されているそうだ。