「まごころ印刷」がキャッチフレーズの印刷ネット通販サービス「アルプスPPS」が、新戦力としてハイデルベルグ製8色枚葉オフセット印刷機を導入するという。「オフセット印刷機ってどうやって運ばれるの?」という素朴なギモンに「それなら搬入作業を見に来ませんか?」とアルプスPPSからのありがたいお言葉。そこで見られたのは、印刷機という"超"精密機械を運び入れるプロの仕事だった。

アルプスPPSの新戦力は「自動両面」+「UV印刷」!!

今回、アルプスPPSが導入するのは、ハイデルベルグの「Speedmaster SM102」を8色(8ユニット)で構成した上にDryStar UVを2基搭載した「SM102-8-P+LE-UV」。8色とはいえ特色やクリアニスを加えた4色ではなく、CMYK×CMYKで自動両面印刷を可能にする構成だ。さらに、LE UV装置を各プロセスカラーの印刷終わり部分にそれぞれ設置して、片面の印刷後すぐにUVインキを乾燥させる。

いわばオフセット印刷のオンデマンド化が可能な構成で、アルプスPPSの狙いも「短納期への対応」にある。

UV印刷とは……!? ハイデルベルグ「LE UV」のすごさ

通常のオフセット印刷は、(部数にもよるが)印刷そのものはすぐ終わってしまう。何に時間がかかるかといえば、印刷インキの乾燥だ。印刷インキが乾かなければ、後工程(折りや断裁、製本など)に回せない。よくデータ入稿から納品まで最短で4日、通常は1週間といわれるが、乾燥時間はかなりの時間を費やしてしまっているといっても過言ではない。。

今回、アルプスPPSが導入したUV印刷は、印刷インキに紫外線で硬化する特性を持つUVインキを使い、これをUVライトで照射して乾燥させるため、この時間を圧倒的に短縮できる。場合によっては朝入稿して夕方には納品、というようなアクロバティックなサービスも展開可能だ。

加えてハイデルベルグの「LE UV」は「Low Energy UV」ということで、従来より消費電力エネルギーを約80%も削減しているという。顧客サービスに活かせて印刷会社の懐事情にも優しい、エコなUV印刷システムなのだ。

この「SM102-8-P+LE-UV」が導入されたのは5月吉日。まさに五月晴れという言葉の似合う土曜日のことだった。早速搬入の流れを見ていこう。

枚葉オフセット印刷機の搬入は、まず屋内施工から

アルプスPPSの母体になっているのは創業40年という歴史を誇る東京堂印刷。江東区内にある建物に、ハイデルベルグ製枚葉8色印刷機が導入される。

印刷機を導入するためには屋内施工が必要。というわけでアルプスPPSでは1カ月という長い時間をかけてコンクリートを打ち直し、屋内の設置場所を改築して整備した。特に床部分のコンクリートは、精密機械で重量級という印刷機を置けるように数十センチ分の厚みを作り、水平になるように打ち直すなど、神経を使った部分とのこと。少しでも傾きがあると印刷機の動作に不具合が起きてしまうそうだ。

手元に見えるのが設置に欠かせない図面。今回設置される場所は幅8メートル、奥行き20メートルという広さ。印刷機はもちろん、水冷装置や電源といった印刷機に欠かせない付帯装置まで、屋内のどの場所に設置するかがしっかりと記入されている。搬入作業から組み立てまで、この図面がなければ始まらない。