薄さと軽さの秘密

手に持てば、前モデルのiPhone 4Sとの違いは瞭然だ。成人男性の手のひらから若干はみ出すほど縦長になったが、幅は変わらない。なにより薄く、そして軽い。iPhone 4Sには、手にしたときズシリとくる"高密度感"があるが、iPhone 5ではそれほど感じられない。数字で確認してみると(下表)、確かにiPhone 4Sより薄くて軽いボディとなっている。

この薄さと軽さを実現した要因は3つあり、最大の効果をもたらしているのは改良版Retinaディスプレイの採用だ。これまでのiPhoneは、一貫して「投影型」と呼ばれるタッチパネルを採用しており、演算処理を行う回路を搭載した基板層、その上に電極層、表面にはガラス/絶縁体フィルムという順に構成されているが、改良版Retinaディスプレイではタッチ用電極層を取り去り、画素表示用電極層に兼ねさせることにした。これが、従来比30%薄くなった理由だ。

主要部品の小型化による効果も大きい。30ピンのDockを置き換える「Lightningコネクタ」を採用したほか、内蔵のiSightカメラは従来比20%という小型化を実現した。新設計のSoC「Apple A6」も、高速化を図りつつ22%も小さくなっている。これらの積み上げが、iPhone 5の薄さと軽さに貢献しているというわけだ。

小型化追求の一環として、SIMカードまで新設計したというのだから恐れ入る。その「Nano-SIMカード」という超小型SIMは、iPhone 4/4Sで採用のMicro-SIMより44%小さい。表面積が小さくなっただけではなく、薄く仕上げられている点も見逃せない(SIMを切ってMicro-SIM化する技は流用できない?)。……続きを読む

■iPhone 4Sとの形状の比較

iPhone 5 iPhone 4S
高さ(mm) 123.8 115.2
幅(mm) 58.6 58.6
厚さ(mm) 7.6 9.3
重量(g) 112 140