エッジに施された「面取り」に注目

iPhone 5の本体は、アルミ削り出しのユニボディを基本とするが、電波の関係で無線モジュールが内蔵された部分(インレイ)はガラスでカバーされている。それがツートーンデザインの理由で、ホワイト&シルバーモデルでは白いセラミックガラス製の、ブラック&スレートモデルでは着色ガラス製のインレイが上下にはめ込まれている。

だから、"iPhone 5らしさ"は裏返したほうが伝わりやすいかもしれない。従来のガラスに比べ質感は大きく変化、それも確実にプラスの方向へと進化している、と実感できるからだ。たとえば、iPhone 4/4Sは周囲のステンレスフレームから表裏両面がはみ出るような形に見えていたが、iPhone 5ではそれがほぼなくなった。表面はわずかに側面から盛り上がっているように見えるものの、裏表両面のエッジは野菜の"面取り"のように鋭角な部分が削りとられ(ダイヤモンドカット)、側面と一体形成されているように映る。

iPhone 5の裏面。ブラック&スレートモデルでは着色ガラス製のインレイが上下にはめ込まれている

本体の大部分はアルミ削り出しのユニボディで構成され、継ぎ目のない緻密な印象を見る者に与える

個人的に、iPhone 5のデザインでもっとも秀逸と感じられるのは、この"面取り"だ。結晶性ダイヤモンドでカットされたというエッジ部分は、手にする角度によってまばゆく光り、iPhone 5に独特の個性を与えてくれる。ケースを装着すると、このデザインは完全にスポイルされるため、日々iPhone 5らしさを感じたければ"素"のまま利用したほうがいい。

ブラック&スレートモデルに関するかぎり、2色のツートンカラーは好印象。インレイ部がいい意味でのアクセントになっている

ダイヤモンドカットされたエッジ部は、手にした角度によってキラリと光る。これがiPhone 5のデザインにおける最大のインパクトか

Lightningの登場

iPhone 5を下方向から眺めると、2つの大きな変化に気付く。これまで大きく開いていたDockコネクタが姿を消し、代わりに「Lightning」が採用された。Lightningの採用は、薄さと軽さを追求した結果ではあるが、デザイン上にもプラスに作用している。

まず、Dockの開口部面積が減少したために、レイアウトの自由度が増している。これまでは、Dockの左右両側にマイクとスピーカーを配置すると、余分な面積はほぼなくなっていたが、iPhone 5ではステレオミニジャックを移動させることに成功している。これでケーブル類は本体下部に集中することとなり、設計側の事情だけでなく、ユーザ側にも使い勝手という点でメリットが生じている。

使い勝手が向上したと感じるには2つの理由がある。それは、端子が小型化したことによる携帯性/機動性の向上と、上下を気にせず差し込めることだ。しかも、端子の金属部分はDockに比べ2mmほど奥行きがあり、iPhone 5本体にしっかりと差し込まれている安心感がある。実際、意識して強く引っ張らないことには抜けない。

もっとも、ステレオミニジャックが本体下部へ移動したことは、賛否両論あるかもしれない。この点に関しては、使い勝手が向上したとは一概に言い難く、胸ポケットやバッグへ逆さまにiPhone 5を入れておくことに難色を示すユーザも少なくないだろう。慣れが解決する問題かもしれないが、視界にケーブルが入りにくくなったぶん、個人的には歓迎している。

iPhone 5(上)とiPhone 4S(下)の本体下部

これまで利用されてきたDock(左)と、それに代わるLightning(右)。端子の大きさは一目瞭然

Lightningの採用により本体下部のレイアウトの自由度が増し、これまで上部にあったステレオミニジャックが下部へ移動した