青山システムコンサルティング セールス&マーケティングコンサルタント・顧問 岡田圭一氏

スマートフォンなどの個人の端末を業務に用いるという「BYOD」(Bring Your Own Device)に注目が集まっている。これまでオフィスにいないとできなかった業務を外出先や自宅などでも行えるようにするBYODは、効率化を図れる一方で、機密情報の漏洩などのリスクも伴う。ITシステムコンサルティングを手がける「青山システムコンサルティング」(URL: http://www.asckk.co.jp/)では、BYODに関する社内ポリシーを策定し、施行している。

同社のセールス&マーケティングコンサルタント・顧問であり、BlackBerryスマートフォンのユーザーでもある岡田圭一氏はBYODにおけるBlackBerryスマートフォンの対応や具体的な使用方法などを自身のブログで紹介している。

今回は、同社でBYODポリシーを導入するに至った経緯や、BlackBerryスマートフォンユーザーとしてのBYODに対する考察などを岡田氏に伺った。

ビジネス創出のためのメールリレーションにBlackBerryを活用

青山システムコンサルティングは、大手監査法人のシステムコンサルティング部門が独立する形で設立されたITコンサルティング会社。特定の製品やサービスを担がない第三者的で中立な視点を特色としており、クライアント企業のITシステムの診断やITシステムの中長期計画策定、IT全般統制策定、システム監査といったコンサルティングサービスを提供している。

同社の特色である第三者視点について、岡田氏は次のように語る。「リーマンショック以降の長引く不況下で、ITシステム投資は控えられてきましたが、ここ最近は、ITへの投資意欲は回復基調にあるといえます。しかし、経営者の方々は、トレンドやブームに流されることなく、慎重に無駄なく投資したいと考えており、ITシステムの第三者視点での評価や診断を求める声が大変高まってます。そのような中で、企業の課題を解決するためにコンサルティングを提供していくのが弊社のミッションです」。

岡田氏は、同社の営業・マーケティングのコンサルタントとして、おもにコンサルティング案件の発掘や大手SI、キャリアなどとのパートナシップ構築を担当している。そんな岡田氏が、そもそもBlackBerryスマートフォンを使うようになったきっかけは、自身で発行しているメールマガジンだという。

「私は、約15年間にわたって1800名の⽅々とメールリレーションをしており、その人脈にもとづくビジネスモデル創出を強みとしています。月に一度は1日1000通にも及ぶメールのやり取りが発生し、いかにすばやく正確に応対できるかがビジネスに直結します。ですので、携帯電話のテンキーでの操作には無理がありました。そこで、物理的なQWERTYキーボードを搭載したBlackBerry Bold 9000にたどり着いたわけです」と岡田氏は語る。

BlackBerry Bold 9000を使い始める前には、QWERTYキーボードを搭載した他の端末も何機種か触ってみたが、操作性でBlackBerry Bold 9000を超えるものはなかったという。「BlackBerryのQWERTYキーボードは、キー配列が微妙にカーブしていたり、キートップがカットされていたりと、細やかな配慮がなされていて、ものづくりのこだわりや魂といったものを感じます。結局、(BlackBerry Bold)9000を皮切りに9700、9900と愛用し続けています」。

「BlackBerryのQWERTYキーボードは、正確ですばやい入力が可能です。たとえば、関与先企業の社⻑就任挨拶の原稿素案を地下鉄での移動中にBlackBerryのみで打ち込んで作成したりといった事もありました。他にも、周りも驚くような数々のシーンで活躍をしてくれています。時代が変わって、今ではスマートフォンもスレートタイプのものが主流ですが、たくさんの文字を打つ私の選択肢には、やはり画面キーボードというものは存在しません」と岡田氏は断言する。

BYODポリシー策定で、BlackBerryのセキュリティ機能を再認識

個人の端末を業務に用いるBYOD(Bring Your Own Device)は、スマートフォンの普及などにより導入も多くなっている。外出先や自宅でもメールのチェックなどの業務を行うことができ、効率性や利便性に優れていることから注目が集まっているが、万が一、端末を紛失したときには、顧客情報やメールなどの機密情報が漏洩するリスクが伴うため、企業側にはBYODに対するポリシーの策定が求められる。岡田氏が勤務する青山システムコンサルティングでは、2012年6月にBYODに関する社内ポリシーが策定、施行されたという。同社のBYODポリシー策定について、岡田氏は次のように経緯を説明する。

「弊社ではクライアント企業に対して、IT全般統制整備支援やIT統制環境構築支援といったIT統制のコンサルティングを提供しています。そのため、自社のIT統制をしっかりと整備しておくのは当たり前の話となります。BYODポリシーの整備も早々に行われ、今年6月の全体会議で全社員に対して方針や規定の説明、承認が行われ、『情報セキュリティ規程』への追記が行われました」。

同社のBYODポリシーは、以下のようになっている。

・個人端末を業務で使用する場合、事前に会社に申請し承認を得ること

・機密情報を保持した個人端末の盗難・紛失があった際には、私用データが含まれている場合でも、データを全てリモート消去することを許可すること

・個人端末のオートロック間隔を5分以内に設定すること

・メール添付ファイルを開いた場合、端末内部に自動保存されたドキュメントは速やかに削除すること

・不正な改造(root化、Jailbreak)の禁止

・SDカードに機密情報を保存しないこと

・端末位置情報確認サービスに登録すること

・機密情報を保持した個人端末の紛失/盗難があった場合は、ワイプ(工場出荷状態に戻す)を実行すること

・ウイルス対策ソフトの導入を行うこと

・信頼できるネットワーク以外での業務利用は避けること(提供元不明の無料アクセスポイント等の使用は避けること)

BYODポリシーが策定された際、岡田氏は自ら使用しているBlackBerryスマートフォンの設定を確認してみたが、すでにすべての要件を満たしていたという。

「『BlackBerry Protect』をすでに設定済みだった私の場合、あらためて設定し直す必要は特にありませんでした。実は、弊社でBlackBerryを使用しているのはメール数が極端に多い私だけでして、今回のBYODポリシーはもちろんBlackBerryを意識して策定されたものではありません。しかし、結果的にITシステムコンサル会社のBYODポリシーに照らしても、要件を満たすセキュリティ機能が当然のようにBlackBerryでは網羅されているということを、あらためて認識しました」と岡田氏。

今後のBlackBerryスマートフォンに期待すること

BYODの社内ポリシーの策定をきっかけに、BlackBerryスマートフォンへの認識をあらたにしたという岡田氏に、今後のBlackBerryスマートフォンに期待することを聞いてみた。

「最新のBlackBerry Bold 9900で気になるのは、バッテリーの持ちです。以前の機種では2日間フルで使うことができましたが、9900では毎日充電しないとバッテリーが持たない印象ですね。とはいえ、私の場合は始動が朝5時からと極端に早い日も有りますがそのような時でも夜の11時、12時くらいまで使えているので⼗分ではありますが、次の機種ではもっと改善してほしいと思います」。

続けて岡田氏は、BlackBerry Bold 9900のテザリング機能についても言及。「テザリング機能はかねてから使いたいと思っていましたが、BISのほかにmopera U(※1)への加入も必要ということで、複雑さ、煩雑さを感じてしまい結局使わず仕舞いになっています。テザリングももっとシンプルに低コストで使えると、さらに利便性を感じるので期待したいですね」と語る。

※1 mopera U:NTTドコモがスマートフォン向けに提供するインターネット接続サービス

最後に、BlackBerryスマートフォンの魅力について、岡田氏に語っていただいた。

「QWERTYキーボードをはじめとして、仕事で使う上での満足度が高いのがBlackBerryの魅力です。この満足度は他のスマートフォンではきっと味わえないでしょうし、もしも他のスマートフォンを使っていたら、メールなどの文章・文面そのものに不満が出てきてしまうのではないかと思います(笑)。実は私は、機械モノがそれほど得意なわけではありませんが、今回のBYODポリシーに関しても、意識することなく会社の決めたルールに沿えているのはBlackBerryのお陰です。安心感もありますし、企業トップなどの年齢が上の人にもおすすめしたいですね。また、BlackBerryに関係なく、BYODについて心配なことがある場合にも、ぜひ気軽に青山システムコンサルティングまでご相談いただければと思います」。