時には雷鳴のようなごう音がとどろく“鳴門の渦潮”

四国といって思い浮かぶもののひとつに「鳴門海峡の潮流」がある。いわゆる“鳴門の渦潮”のことで、渦が巻く速度が最も速いとされる大潮時には、何と10ノット以上(約20km/h)の速さで発生する。潮速はもちろん日本一で、世界でも、イタリアの「メッシーナ海峡」、カナダの「セイモア海峡」に並んで世界三大潮流のひとつに数えられているほどだ。

最大事には直径20メートルにも! 渦潮のメカニズムを知る

鳴門海峡は鳴門市孫崎と淡路島との間に位置し、そこでは常時、大小無数の渦が巻いている。そもそも渦潮は潮の干満によって生じるもの。月の満ち引きと深い関係があるため、春と秋の大潮時には直径20メートルにも及ぶことがる。巨大な渦潮発生時には、雷鳴のようなごう音をとどろくという。

鳴門海峡でこのような大きな渦潮が発生するのは、その地形によるところが大きい。海峡中央部は約100メートルと深いため、潮の流れが速い。この中央部の流れを「本流」と呼ぶ。一方で両岸は浅瀬になっているため、非常に穏やかな流れである。渦潮は、この本流と両岸の緩やかな流れの差により生じているというわけだ。

つまり、本流の速い流れに、穏やかに流れていた波が巻き込まれるような形で渦潮は発生する。そのため、渦潮の発生場所は、流れの速い本流と穏やかな流れの境目付近ということになる。なお、渦潮が見られる時間は数秒から数十秒と短いが、ひとつの渦が消えても次々に新しい渦がその周辺に生まれる。

大潮の際に発生する特別なものはさておき、満潮と干潮は1日2回ずつあるので、渦潮は毎日見ることができる。渦潮の見頃については、鳴門市観光協会や観潮船のHPなどに掲載されているので参考にしてみよう。

大迫力で楽しみたいなら、イチオシは船からの観賞!

渦潮を観賞するおすすめのスポットは、鳴門大橋に設けられた海上45メートルの高さがある「徳島県立渦の道」。もしくは、衣服がぬれるほど間近に迫って観賞することができる「観潮船」に乗るのも手である。

観潮船は現在、2社が運行。船の数は計3隻ある。うち1隻は、亀浦観光港の観潮船乗り場から発着する、鳴門観光汽船の大型観潮船「わんだーなると」。約400人乗りの大型船だ。

大迫力の渦潮の間近まで接近する同船からは、約30分かけて渦潮を観察することができる。大きな船のため渦潮のすぐそばまで近づいても揺れが少なく、また30分と時間が短いので船に弱い人でも安心して観潮できる。乗船の予約は不要。希望の乗船時間の10分前に直接乗り場へどうぞ。

その他に、水中の渦潮を見ることができる小型水中観潮船「アクアエディ」がある。船底が透明なグラスファイバーになっているので、水面下1mの展望室から海中の渦の様子を間近で見ることができる。こちらは、定員は約50名で、事前予約が必要。

より間近に渦潮を感じたいなら小型船

そして、もう1社のうずしお汽船が運航しているのが、小型高速船「うずしお」だ。鳴門公園に一番近い鳴門公園亀浦漁港から出航するが、小型船ならではの小回りの良さと目線の低さで渦を大迫力が体感できるとあって人気が高い。海峡の落差ができる潮流の強い所では船が揺れることもある。もし船酔いしそうだと思ったら、観潮船乗り場でビニール袋を事前にもらっておくと安心だ。

また、船酔いした人のためのバケツも積まれているが、実際はほとんど利用する人はいないはという。なぜかというと、港は瀬戸内海に面していることに加え、鳴門は気候温暖な地であるため、波が穏やかな日が多いからだ。さらに乗船時間が30分ほどということもあって、ほとんどの人が船酔いする間もなく観察できているのだそうだ。それでも心配なら、小型船より揺れが少ない大型船を選ぶべばいいと現地の人は言う。

なお、渦潮は潮の干満によって発生する自然現象なので、観賞するためには最適の時間帯をしっかり調べておくことが必要だ。しかも、当日の天気や海の状態によって、見頃となる時間帯がずれる場合もある。行く場合は少し余裕を持った時間設定にした方がいいだろう。

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