【レビュー】
動物たちが東京の街を走りまくる。ソニー・コンピュータエンタテインメントが2012年6月7日に発売したPlayStation 3用のソフト『TOKYO JUNGLE』のCMを見て、"なにこれ?"と思った人も多いだろう。人間が姿を消し、動物だけになった東京(正確には渋谷近辺)で、1匹の動物となって生き抜くアクションゲームである。登場するのは動物だけと、しゃべるワケでもなく、萌えるようなキャラが出てくるワケでもない、このゲーム。本当に面白いのか? と疑問に思う人もいるだろう。いやいや、どうしてプレイするほど面白さがにじみ出てくるのである。その気になれば、ポメラニアンでクマにだって勝てるんだ。ちょっとワクワクしませんか?
『TOKYO JUNGLE』は、簡単にいえば、肉食動物ならほかの動物を狩り、草食動物なら草木やキノコを探して、東京の街で生き残ることを目指すサバイバルアクション。それだけではつまらなそうだが、実にさまざまな要素が含まれている。オオカミやクマ、ライオンなどの強い動物から隠れながら移動するのはスニークアクションゲームのようであり、プレイごとに変化する登場動物やイベント、天候、環境、そして食べ物を取らないとどんどん空腹になるのは、"不思議ダンジョン"などに代表されるローグ系ゲームのようであり、「何匹動物を狩れ」など指令のようなさまざまなチャレンジが発生するのは戦場系のアクションゲームのようであり、無数にあるアイテムを集めて、しかも装備することで見た目にもこだわれるのはMMORPGのようでもありと、とにかくいろいろなゲームの要素がギッシリと詰まっている。
それに加えて、渋谷近辺を自由に動き回れる箱庭系のゲームでもあり、チャレンジをほったらかして、ただ街をうろうろして探検気分を味わうことだって可能だ。地下道や、ビルの屋上など、さまざまな移動ルートがあり、どこをどう移動すれば、最短で目的の場所に行けるのか悩んだりできるのも、醍醐味だったりする。地図好きが目的地までの最短ルートを考えて、ニヤニヤする感覚というべきか。
それだけに、ゲームの全体像をつかむまで、多少時間がかかるのが難点といえば難点かもしれない。最初のうちは、食べ物を探してうろうろして、ちょっと強い動物に見つかったら、あっさり倒されてゲームオーバー。ホントにコレ楽しくなるのか、と思うシーンに出くわすが、強い動物に対しては草むらに隠れてやり過ごしたり、大型の動物に対しては高い場所に移動して逃げたりと、何度かプレイすれば、ピンチの回避方法が自然とうまくなる。そして、地形もある程度覚えれば、食料の確保や移動に悩まなくなり、チャレンジを積極的にこなすなど、やりたいことに没頭しやすくなり、楽しさはどんどん増していく。
醍醐味はいくつかあるが、まず面白いのが「世代交代」だろう。移動できる場所は、いくつかのエリアに分かれており、各エリアにあるマーキングポイントすべてにマーキングすると縄張りを占領したことになり、巣が使えるようになる。巣使えるようになると、エリアにメスが登場。メスをなびかせて、巣まで連れて行けば、交尾して操作キャラクターが子供に移るという流れだ。プレイヤーが操作する動物は、食べ物を摂取するほどランクが上がるが、いいメスをなびかせるには、高いランクが必要。メスには、能力継承(生命力、防御力、スタミナなど)に優れる順に、アゲメス、タダメス、サゲメスが存在するが、ランクが低いとアゲメスはついてきてくれない。いい男にならないと、いい子孫を残せないと、なんとも非情というか、メタボ気味のオッサン筆者としてはちょっと悲しい気分になるシステムである。
世代交代は、親から能力を引き継いで、より強くなれるほか、数匹の「群れ」になれることが大きなメリット。肉食動物ならば、群れ全体で敵を攻撃でき、草食動物ならば群れの1匹に倒れたふりをさせておとりにし、強い動物から逃げる、なんていいのか悪いのかわからない指令を出せる。さらに、プレイヤーが操作する動物がもし死亡しても、群れの1匹に操作が移行する。つまり、シューティングゲームの残機といえる存在にもなってくれるのだ。それだけに、群れで行動すると、ちょっとゾウでも倒してみようかなと無謀な行動にも出てしまうワケである。ちなみに、世代交代をするほど、その動物は強化されていき、世代交代をしないでずっと行動していると老化で最終的には死んでしまう。世代交代は常に考えながら行動したいところだ。なお、世代交代で向上した能力はゲームオーバーになっても引き継がれる。その動物で再プレイする場合は、能力がアップした状態からスタートできるワケだ。
動物最強はカバかライオンか、『TOKYO JUNGLE』をプレイすると動物強さランキングをガチで考えます。次ページは動物アンロックの醍醐味――続きを読む
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