もうすぐ夏ですね。夏といえば、そう、恋愛の季節です。今年こそはカワイイ彼女をゲットするぞ! ……と気合を入れる男子諸君も多いのではないかと思いますが、しかしよく考えてみると皆が皆同じことを考えているわけで、つまりこの夏待ち受けているのはライバルたちとの熾烈な恋愛競争なわけです。

ならばライバルに打ち勝つためには、「どんな男がモテるのか」「女性が理想とする男性像」をしっかりと把握して、今から少しでも近づいておくのが得策というものでしょう。

そこで今回は電子貸本サイト「Renta!」より、女性の恋愛のバイブルともいえる「ロマンスコミック」をご紹介します。基本的には女性向けの内容となっていますが、男性でも楽しく読める作品をピックアップしてみました。

『砂上に誓う恋』(宙出版刊)

砂上に誓う恋

ロマンスコミックでは、一般人の女性と身分の高いセレブな男性が恋に落ちて……といういわゆるシンデレラストーリーが黄金パターンですが、そうではない作品もいろいろとあります。本作『砂上に誓う恋』もそのひとつ。

舞台は古代エジプト。戦争の勝利を祝う凱旋の中、王女ネフィレリは捕虜の列の中から一人の若者を見つけます。彼は金髪で碧眼を持った隣国の勇者セネト。ネフィレリはそんなセネトに惹かれていくのですが、それは決して叶わぬ恋なのでした――。

まず古代エジプトという舞台設定が良いですね。これが現代だと、身分違いの恋といってもまぁ、"絶対に無理"というケースは稀です。男女がお互いに好き同士なら、結婚すること自体は不可能ではありません。ところが本作の場合、王女と奴隷が結ばれることは基本的には"絶対に不可能"で、とはいうもののロマンスコミックである以上はハッピーエンドであることは間違いないですから、そこのところをどう解決するのかというワクワク感がありました。

……そんなメタ的な読み方はさておき、本作のもう一つの魅力は、本編である「ナイルの果てに」と続編である「ナイルの誓い」の2作品を収録していること。「ナイルの誓い」は「ナイルの果てに」の次の世代の物語となっており、前作とのつながりもところどころに見える非常に面白い構成となっています。個人的にオムニバス的な漫画が好きということもありますが、二世代にわたって繰り広げられるラブストーリーは女性のみならず、男性視点で読んでもとても面白かったです。歴史物が好きな方には特にオススメします。


『愛、充ちゆく海辺で 海が紡ぐ絆シリーズ1』(ソフトバンク クリエイティブ刊)

愛、充ちゆく海辺で 海が紡ぐ絆 シリーズ

続いては主人公を入れ替えながら、3人の男性の恋を綴ったロマンスコミック。通常は女性が主役であることが多いロマンスコミックですが、本作の主役となるのは3人の兄弟です。3人それぞれの恋愛をシリーズ3冊にわたって描いており、1を読めば最後まで読みたくなること間違いなし!

第1巻ではプレイボーイのレーサー、キャメロンと生真面目なソーシャルワーカーのアンナとの恋愛を描いているのですが、しかし単なる甘い恋物語ではありません。

本シリーズのもう一つのテーマは「家族愛」。子どもを引き取り、男兄弟3人で育てることになったクイン3兄弟の奮闘ぶりと、少年セスとの心温まる交流を丁寧に描いており、"イクメン"ものとして読んでもとても面白い作品です。

3人の兄弟がまたそれぞれに個性豊かで良い男ぞろい。性格も見た目もバラバラな3人だけに、女性に対する向き合い方や恋愛・結婚への考え方もそれぞれ異なっており、飽きることがありません。誤解を恐れず言うなら、かつて大ヒットしたアメリカのホームドラマ『フルハウス』みたいな雰囲気といえるかも。

2巻、3巻では主人公がキャメロンから兄弟のイーサン、そしてフィリップへと移り、それぞれの物語が順番に語られていきます。3人の兄弟にどんな恋が訪れるのか、そしてセスは本当の家族になることができるのか。ぜひ最後まで見届けてください。


『手ごわい女のしつけ方』(宙出版刊)

手ごわい女のしつけ方

こちらもやはり男性視点での物語。主人公のデービッドはメガネで堅物な考古学者。博物館への寄付を求めて接待に奮闘する彼と、小悪魔的な魅力を持つスーザンとの恋を描いたロマンスコミックです。

他のロマンスコミックに比べるとややコメディ色の強い作品で、男性でもかなり読みやすいはず。おまけにデービッドは王子様でもないし、セレブでもないしで、男性としては感情移入もしやすい(?)です(とはいえデービッドには「メガネを外すと超イケメン」という設定があるわけですが……)。

スーザンに振り回されながらだんだん彼女に惹かれていくデービッドと、小悪魔でありながら実はピュアなスーザン。不器用な2人の恋愛は、読んでいて思わず応援したくなります。

「女性の理想の恋愛」を描いているという印象が強いロマンスコミックですが、描かれている内容には男性でも共感できるところが多々ありました。今回取り上げた作品以外にもぜひいろいろと読んでみてください。そこから女性が憧れる男性像が見えてくるかもしれませんよ。