ワコムが4月に発売したボールペン付きスタイラスペン「Bamboo Stylus duo」。前編では、先行して発売されていた「Bamboo Stylus」と比較しつつ、大まかなスペックをお伝えした。本編では、描画の要となるペン部分にフォーカス。また、お絵描きアプリなどを使用しながら、実際の使い心地などをお伝えしよう。

ボールペンは市販のリフィルが使用可能

duoで使われるボールペンは油性ボールペンだ。市販のものが使えるため、好みに応じて赤や青といったカラーボールペンを選ぶこともできる。現在、ワコムから公式にアナウンスされているのは、次のメーカーのリフィル。なお、すべて油性ボールペンで、残念ながら水性、ゲルなどのボールペンは利用できないようだ。

duoで使える市販のボールペン芯(2012年4月現在):
三菱鉛筆:SE-7、CROSS:8518、パイロット:BRF-8F、トンボ鉛筆:BR-VS、LAMY:M21

duoのボールペンでは、市販のリフィルが使える

また、本体カラーはBamboo Stylusと同様のツートーン。このツートーンは机の上などで目立つのがいい。クリップ部分もしっかりしており、耐久性がある。フォーマルスーツでも違和感のない、高級感のあるデザインは貴重だ。また、導電ゴム部分も劣化したら交換できるようになっているのもうれしい。

キャップ部分。しっかりした作りで、スーツのポケットにもあう

ペン部分拡大。黒いリングはキャップを保持するゴムシーリング。高級感のあるアルミの質感

様々な場面での使用感を検証

まずはワコムが提供している「Bamboo Paper」で試用してみた。Bamboo Paperは、手書きメモやイラスト制作が楽しめるタブレット用ノートアプリだ。無料で使え、シンプルで使い勝手がいい。スタイラスは先端が細いので、画面を拡大しなくても、かなり細かい部分まで気持ちよく描ける。

ワコムがiOS、Android OS向けに提供しているノートアプリ「Bamboo Paper」

スタイラスペンがあれば長文の筆記もストレスなく続けられる。筆者が愛用しているノートアプリはiPad用の「Notability」。手書き文字を書き込む部分拡大機能が使いやすいアプリだ。人によるだろうが、筆者はノートをとる時ソフトキーボードよりも手書きの方が変換のストレスがなく、長文を書くのに適してるように思う。手書きメモなら文字だけでなく、スケッチや図も書き留められるし、キーボードのような音もしないので、図書館などでのノートにもいい。

長文の手書き文字にはスタイラスは必須

スマートフォンでスタイラスが威力を発揮するのはWEBページやメール内の文字の選択編集だ。普段は指の操作で事足りるが、ちょっと長文のメールを書いたり、スケジュールを整理したりするとき、指だと細かい操作が苦痛になる。たとえばiOSでの文字選択は非常に小さなポインタを操作することになり、指だと「イラッ」と来るし、高機能スケジュールアプリで、目的と違うスケジュールを選択してしまう、ということも多い。そういう経験がある人はぜひ一度、スタイラスを使ってみて欲しい。細かい操作も的確にこなすことができ、ストレスが一気に減少するはずだ。

iPhoneでテキスト編集している様子。細かい選択も一発で決まる

もちろん本格的に絵を描くにも、スタイラスは威力を発揮する。duoは摩擦が少なく、絵の具と筆で描くように、軽いタッチで描けるのが魅力。「Autodesk SketchBook」のような高機能描画アプリを使えば、パソコンを使わなくても本格的なイラストレーションを仕上げることも可能だ。

Autodesk SketchBookでの描画。摩擦が少なく、スラスラと筆を走らせることができる

「これさえあれば」の安心感

筆者はいつも上着のポケットにスタイラスペンを入れているが、ひとつ問題があった。当たり前の話だが、スタイラスペンでは、紙に書くことが出来ないのだ。会議や、人に渡すメモを書こうとペンを出すとスタイラスしか持っていなかった、ということが頻繁に起こる。スマートフォンやタブレットPCを使いこなし、デジタル依存度が高い人ほど、「あ、筆記具がない! 」という場面が増えてしまうのだ。しかし、本製品の登場により、そういった状況も一気に減りそうだ。

クラウドサービスの登場で、スマートフォンやタブレットなど小さなデバイスに仕事の資料から写真、映像、スケジュールなど、あらゆる情報を持ち歩けるようになった。外出の際も「スマートフォンとBamboo Stylus duoさえあれば大丈夫」という安心感を得られるという意味で、これ以上のペンはないだろう。