【レポート】
今年で10回目の開催となるImagine Cup 2012の日本大会が4月7日、東京・品川の日本マイクロソフト本社で開催され、ソフトウェアデザイン部門では東京工業高等専門学校(東京高専)のTeam coccoloが最優秀賞を獲得。7月にオーストラリアのシドニーで開催される世界大会への出場権を獲得した。
Imagine Cup(イマジン カップ)は、テクノロジを使って今日の世界に変化を起こしたいという情熱、想像力をもった学生を応援する、マイクロソフト主催の技術コンテスト。テーマは、「想像しよう。地球規模の難題がテクノロジの力で解決される、そんな未来を」だ。
ソフトウェアデザイン部門には、事前審査を勝ち抜いたFinalist 4チームが参加。各チームには、10分間のプレゼンテーションと5分間のQ&Aの時間が与えられ、世界の社会問題を解決する「アイデア」、解決するための「ソリューション」、実現するための「ビジネスモデル」、伝えるための「プレゼンテーション」が総合的に評価された。
東京高専チームが考えたのは、LED照明を使った自動調光システム「All Lights」。各LED照明に明るさセンサーを取り付け、窓際などもともと明るくそれほど照明が必要ない場所のLEDの照度を下げて消費電力を削減するというもの。Windows Phoneを使った照明ごとの明るさ調整や、マイクロソフトのクラウド基盤であるWindows Azureに消費電力の情報などを保存し、集計することで消費電力の見える化も実現している。
また、LED照明の光そのもの(点滅)を通信手段として利用する可視光線ネットワークを構築。可視光線ネットワークは法規制を受けないほか、人体や他の機器の影響を受けないというメリットがあるという。そのほか、新たに通信ケーブル等を必要としないため、コストを抑えて設置でき、照明1個あたりの価格は、照明器具そのもの価格約3,000円と通信モジュール500円の計3,500円程度で実現できるという。なお、可視光線モジュールは市販されていないため、独自に開発された。すでに、大手照明メーカーとも接触し、高い評価を得たという。
そして、マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役社長 加治佐俊一氏がTeam coccoloと接戦になったと明らかにしたのが、慶應義塾大学大学院チームの「Dricos」。こちらは、自働販売機でのペットボトルの代わりにマイボトルを利用し、地球環境に貢献しようというもの。ボトルにはICタグが内蔵され、過去の購入履歴を記憶。これにより、コーヒーであれば、好みの濃さ、ミルク/砂糖の量を履歴により自動で選択できるようになるという。また、購入する量を選択できるのがペットボトルに対する大きなメリットとのこと。
今後は衛生面も考え、ボトルの自働洗浄機能なども搭載する予定だという。ただ、利用は主に学校内やオフィス内など屋内を想定しており、チームのメンバーは「普段利用しているマグカップの代わりに使ってほしい」と話す。今後、慶応大学のキャンパス内で実証実験を行う予定だ。
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中央がマイボトルの試作品。左のPC画面はICタグの情報を読み込んだもので、右のイラストは自販機のイメージ。ICタグの情報はクラウドにバックアップしているという。また、既存の自販機もソフトを書き換えるだけで利用可能になるそうだ |
そのほか、同志社大学は視覚障害者向けに入力デバイスと視覚障害者視点のWebブラウザを組み合わせたシステム「Konnect」を提案。HTMLタグを解析してデータマイニングするシステムと、声と新しい円形の入力メソッドを披露した。
また、弓削商船高等専門学校は、初心者でもナビに従っていけば、指定した模様の布が作成できる機織り支援システム「Ito is wonderful!」を提案した。
ゲームデザイン部門では、事前審査を勝ち抜いたFinalist 3チームの中から、トライデントコンピュータ専門学校の「ブルーム*ブロック」が最優秀賞を獲得。「ブルーム*ブロック」は、環境汚染された地球をクリアすることによって、緑豊かな環境に変えていくというゲーム。これによって、美しい自然を維持する気持ちを高めたいという狙いがある。
同日、同じ会場ではMicrosoft Innovation Award 2011の最優秀賞も決定された。Innovation Awardは、独創的なアイデアのソリューションとビジネスモデルを表彰し、日本マイクロソフトがマーケティングや技術支援を行うプログラム。
今回で5回目となるが、今年からこれまでの一般部門に加え、新たに学生部門も創設された。しかし、今回学生部門の最優秀賞は「該当者なし」となり、一般部門ではオフィスフューチャーのクラウドコンピューティングによる眼底画像及び予防医療画像遠隔診断支援サービス「MOREsystem」が最優秀賞に選ばれた。
MOREsystemは無散瞳眼底カメラ検査画像をWindows Azureのクラウドサーバ上で管理し、必要に応じて眼底画像の遠隔読影サービスを利用することができるシステム。
失明の危険もある重度視覚障害を防ぐには、早期発見が重要だが、これまでは無散瞳眼底カメラ検査画像を紙に印刷し、医師が診断していたが、医師不足とコストという大きな問題があったという。
MOREsystemでは、検査画像クラウド上にアップし、医師が集中的に診断することでこれらの問題を解決する。紙の写真では拡大や明るさの調整ができなかったが、デジタルであれば自由に画像を編集できるため診断効率が上がるほか、離島やへき地など医師不足に悩む地区でも診察できる。また、自動診断も技術的には可能ということで、今後実装していく予定だという。
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