【レポート】

ET2011 - Intelが語るインテリジェント時代の組み込みビジネスの方向性

すでにレポートもある様に、11月16日より18日までET(Embedded Technology)2011が開催された。このET2011開催初日に招待講演として、IntelのTon Steenman氏(Photo01)による「インテリジェント時代の企業コラボレーション」と題された招待講演が行われた。この講演の内容をレポートしたい。

Photo01:Vice President, Intel Architecture Group and General Manager, Intelligent Systems GroupのTon Steenman氏。肩書きというか事業部名が変わった理由は後述

ここ数年のIntelの講演は、すべてのDeviceがNetwork Connectedになる、という話がまずあり、こうしたConnected Deviceを作り上げるにはIntel Architectureが便利といった話であったが、今年はそこから一歩踏み出したものになった。そうしたDeviceが一杯出てくると、当然それにあわせて大量のデータが生成されることになる。いわゆるBig Dataである(Photo02)。

Photo02:一例としてボーイングの旅客機に搭載されているジェットエンジンは、運転時間1時間あたり20TBのデータが生成される事に触れ、数万機の旅客機が毎日飛行することで、どれだけのデータが生成されるかを考えて欲しいと説明した

ただこれまではこうしたデータをただ捨てていたが、これからはこうしたデータ元に知識を生成するという方向になってゆくとし、ここに大きなビジネスチャンスがあると説明した(Photo03)。こうした知識の元になるデータは単にクラウドに置かれるだけではなく、ネットワーク上を流れており、従ってデータを分析するIntelligence Systemも単にクラウド上にあるだけではなく、コミュニケーションに接続された形で動く、とした。

Photo03:このあたりの話は、なんとなくこの前のMATLABの基調講演のテーマにも通じるものがある

こうした動きはすべてのデバイスに通じるもので、さまざまなメーカーがここに向かってビジネスの方向性を変えているということを、Intelligence CarやTraffic Controlなどを例に紹介した。

ついで、Intelが4004を出荷してから今年で40年になる(インテル-世界初のマイクロプロセッサー-インテル4004の誕生-40周年)事に触れ、こうしたConnected Deviceがどんどん進化してゆくという見通しを語った(Photo04)。こうした進化により、Embedded Deviceも単なるデータ出力デバイスから、相互のデータ交換を通じてのコンテキスト分析、更にはより高いレベルの判断が可能になると氏は説明した(Photo05)。

Photo04:Connectivityが確立されたことが、こうした進化の大きなきっかけになったとし、このConnectivityを通して様々な可能性が生まれてくるという話である

Photo05:この一例として、たとえば交差点の信号にセンサやデジタルカメラを付けて信号待ちの車を撮影する(データ出力)ところから、信号待ち台数にあわせて信号の切り替え時間を調節したり(コンテキスト分析)、さらには複数の信号が連動することで、無駄な信号待ちを最小限にして車がスムーズに流れる(洞察力の向上)といったシステムの可能性があるといったケースが示された

さて、ここからはいつものIntelである。当然ながらEmbedded Deviceにこうした分析力が求められる様になると、より高いComputation Powerが必要になる。デモとして最初に紹介されたのは、Core i5を内蔵した自動販売機である(Photo06)。個々の要素技術は昨年の招待講演一昨年の招待講演で示されているが、今年はこれを1つの筐体に組み込んでの展示である。通常はデジタルサイネージとして動作するほか、顧客が自動販売機の前に立つと、そこでビデオ解析を利用して顧客に合わせた表示を行わせることが可能であることをデモした(Photo07)。

Photo06:この自動販売機は岡谷エレクトロニクスと共同開発した次世代自動販売機のコンセプトモデル。透過型液晶パネルとビデオ解析技術を組み込んで、デジタルサイネージ以上の機能を持たせたもの

Photo07:ちなみに今は自販機の正面に誰もいないため、時計と(なぜか)ジャングルが表示されている。右から覗いているのはキリンの首

こうしたコンシューマ向けの製品だけではなく、では工場などでの生産管理などは? ということで、ここでオムロンの山崎眞哉氏(Photo08)が登壇し、同社の産業向けコントローラについて説明を行った。

Photo08:オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 執行役員 統括事業部長の山崎眞哉氏。2人が手にしているのが、オムロンが開発したIAベースの産業向けコントローラ

最初に簡単に氏が統括しているインダストリアルオートメーション事業について紹介した後(Photo09)、同社の現在直面している課題を説明した(Photo10)。同社はこれまで自身でASICを製造して、これをベースにコントローラを製造してきたが、こうした従来の方式ではトレンドに応えてゆくことが難しいと判断したそうである。

Photo09:同社の売り上げの4割強が同事業部によるもの。ちなみに世界シェアに関してはシーメンスや三菱電機といったあたりがトップで、これに続く位置に居るとしている。現時点でも海外売り上げ比率が60%近いが、この比率がどんどん上がっているため、海外でのニーズに応えることが重要だとか

Photo10:新興国と日本ではまったくニーズが異なっており、ASICベースでこうした要求にすばやく応えるのは難しい、ということである

これにあわせて同社が今年7月に発表したのが、AtomベースのSysmacシリーズ(Photo08でお2人が手に持っている製品)である。これによって、従来のASICベースでは実現できなかった様々な課題を解決できた、と氏は説明して紹介を終えた。

Photo11:講演では細かくは語られなかったが、Sysmacシリーズは従来と考え方を切り替え、すべてのコントローラを連結し、1つのソフトウェアで制御するというアーキテクチャになっている。これにあわせて新たにSysmac Studioというソフトウェアも提供しており、これらの組み合わせでこうした課題を解決しようとしている製品である

次のデモとして紹介されたのは、アクセルとパイオニアとの共同開発による、Core i7ベースのアミューズメント機器向けコンセプトである(Photo12,13)。このコンセプトモデルは、アクセルのAG10の高い表示能力(同時4画面を同時表示している)やフローティングビジョンのデモであると同時に、いわゆるアミューズメント向けのみならず、最近進化しつつある車載向けデジタルコンソールパネルとか、従来から求められているカーナビの表示機能なども含む、かなり様々な用途向けのグラフィックのデモをも兼ねたものになっている。Core i7を搭載することで、これらを独立に動かすことも十分に可能、というのがここでの主眼である。

Photo12:左半分は車のコンソールパネル、右半分はスロットとカーナビっぽい雰囲気を漂わせたもの

Photo13:この写真では判りにくいが、右上の3つのものは、パイオニアのフローティングビジョンという立体映像の表示技術を使っている

ここから、最後のまとめに入った。こうしたConnected Deviceが大量に出現するという状況は、いわゆるPervasive Computingそのものであるが、ではこれを実現するために必要な3要素をまず説明した上で(Photo14)、セキュリティや運用管理に関して、Intelが買収したMcAfeeやWIND RIVERといったベンダが、こうした目的のソリューションを提供している事を紹介した。Intelは9月に組織変更を行い、EmbeddedのグループとクラウドなどのDatacenterグループが一体となったことを紹介、これによって今後想定されるBig Dataに対するソリューションを提供できることを強調した。

Photo14:Connectivityはこれまで説明してきた話で、あとはセキュリティと運用管理となる

最後に改めて、今後10年で爆発的にデータが増えることを紹介し、これをIntelligentなConnected Deviceとこれを支えるクラウドを含めたバックボーンで効果的に解決してゆくことが必要だとし、これに必要なソリューションをIntelが提供できるとして講演を締めくくった。

Photo15:セキュリティに関しては、単にソフトウェアレベルだけでなくシリコンレベルでの対策が必要であり、ここでMcAfeeによるソリューションやWIND RIVERの提供するOSレベルでの対策が効果的であることを説明した

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