企業のデータセンター、クラウド・コンピューティング、ハイパフォーマンス・コンピューティング、および組み込みシステムはすべて、次世代のファブリック性能へ向かって後押しされている市場である。これらの市場で増加し続けるデータ需要が、IO性能向上の必要性に拍車をかけている。10Gビットのファブリック・ポートは40Gビット以上へと突き進んでいる。この発展はハードウェアの再設計を招き、既存のイーサネット技術が、競合するファブリックに対して再評価される契機となった。これらの市場では、10Gビットのイーサネットが当たり前のように使われている一方で、QDR、FDR Infiniband、PCI Express Gen2/3、およびRapidIO Gen2が有力な対抗馬である。

Infinibandは、多種多様なスイッチング、HBA、NIC部品、ハードウェア、およびソフトウェア・ソリューションで大きく成功しており、これらの市場で最も高いパフォーマンスのシステムという座を勝ち取っている。RapidIOは、Infinibandと同様に、より低く、より予測可能なネットワークのレイテンシを提供することで、イーサネット技術の根本的な弱点を明らかにした。Infinibandのように、RapidIOは同じシステム内にイーサネットとRapidIOが共存することをサポートする。ネイティブRapidIOネットワークをイーサネットのように利用できるという事実は、設計自由度が高いシステムにおいて、RapidIOを採用するという主張を説得力のあるものにする。次世代の処理能力やパフォーマンスを得るために、10Gビットのイーサネット・システムを再設計しなければならないとき、20Gビット/秒のポートでサポートされるエコシステムやイーサネットのカプセル化サポートを有するRapidIOは合理的な選択肢である。

RapidIOベースのコンピューティング/サーバーのハードウェア実装例

Integrated Device Technology(IDT)はRapidIO Gen2スイッチを用いて、ポート数の多いノンブロッキング・スイッチ・カードが開発済みである。これらのスイッチ・カードはデータセンター/HPC環境の中に設置することができる。図1は、top-of-rackスイッチングのポート向けに活用される可能性のあるスイッチ・カードの実装を示している。

図1 潜在的なサーバ/コンピューティング・システム実装のブロック図

図1に示されるスイッチ・カードは、例えばtop of rackなどとして使われ、IDTの12個の4×ポート、240Gビット/秒のフルノンブロッキング「CPS-1848 RapidIO Gen2スイッチ」を活用する。このようなスイッチ・カードは、必要に応じてより多くの相互接続ポートに対応するために、より大きなフルノンブロッキング能力にスケール可能である。各サーバ/コンピューティング・ノード/ブレードは、IDTのプロトコル変換デバイス「Tsi721」によって、PCIeとRapidIOをブリッジする。このアーキテクチャは高度にスケーラブルであり、シャーシ間接続をPCI Express(PCIe)よりも効率的にサポートし得る。図1は、x86プロセッサの使用を例にしているが、他のPCIe Gen2/1インタフェースをサポートする汎用プロセッサ・ユニット(GPU)でも同じである。

相互接続からサーバモードへの移行の1つの選択は、IDTのPCIe Gen2-RapidIO Gen2プロトコル変換ブリッジ・デバイス「Tsi721」である。Tsi721はPCIeからRapidIOへ、および、その逆方向へ、フル・ライン・レートし、20Gbaudでブリッジする。Tsi721を使うことにより、設計者は、RapidIOのピア・ツー・ピア・ネットワーキングのパフォーマンスを享受する、ヘテロジニアスシステムを開発することができると同時に、PCIeしか利用できないマルチプロセッサ・クラスタを使うことができる。Tsi721のフル・ライン・レートのブロックDMAとメッセージング・エンジンによって、プロセッサの関与なしに、大量データの転送を効率的に実現可能である。仮想化をサポートするRapidIO Type 9メッセージングの利点と10Gビット・イーサネットのより高いパフォーマンスは、ケーブル配線の削減を可能にする。以降の議論では、このシステム例を参照として使う。

このシステム例については、1組のノード間のメッセージングは、2つの個別の概念、つまり、論理I/Oとメッセージングでサポートされる。論理I/O処理は、ブロックDMAエンジンと同様に、直接のブリッジング変換でもサポートされる。それらがイーサネット・ベースのシステム向けなので、DMAとリモートDNA(RDMA)はこのシステムの中でサポートされる。メッセージングは、メッセージング・エンジンによってサポートされる。一方、イーサネットのメッセージングはTCPなどのプロトコルによってサポートされる。RapidIOは、利用可能なイーサネット・ソリューションよりも少ない、1チャネル当たり単一のI/O仮想化(IOV)をサポートする。