かわさきコンテンツアワード2011事務局の主催による「アドビ システムズ×かわさきセミナー」の第3弾『AfterEffectsが広げるウェブクリエイターの可能性』が開催された。前半はマリモレコーズ映像ディレクターの江夏由洋氏が、「AfterEffects」のプラグインを使った映像制作のワークフローを披露。後半は、アドビ システムズの古田正剛氏が、映像制作に役立つ「Premiere Pro」の機能やテクニックを紹介した。

クリエイターの生命線は作品を人に見てもらうこと

セミナー前半を担当した江夏氏は、10年間テレビ局に勤めてスポーツやニュース番組などの制作に携わり、2007年に独立。兄の江夏正晃氏とともに、クリエイター集団であり制作会社の「マリモレコーズ」を設立し、現在も第一線で映像制作に取り組んでいる。

そんな経歴の中で、AfterEffectsは10年ほど前から使い続けており、今回はWebクリエイター向けにAfterEffectsのプラグインを使った映像制作のデモを行った。Webの映像制作と言えば「Adobe Flash」が定番となっているが、最近ではAfterEffectsを使うクリエイターも増えており、江夏氏の周囲にもFlashの次のステップとしてAfterEffectsを制作ツールとして使い始めた人が多いという。

江夏由洋氏のビデオクリップ上映

まず江夏氏は、自身がどんな映像を制作しているのかを参加者に知ってもらうため、過去にAfterEffectsを使って制作した映像をまとめたビデオクリップを上映。そして「クリエイターの生命線は作品を人に見てもらうこと。作っただけではダメなんです。今回のかわさきコンテンツアワードは良い機会だと思いますので、ぜひ応募してみてください」と付け加えた。

AfterEffectsプラグインの可能性

メインとなるAfterEffectsの解説では、はじめにAfterEffectsでどんな作業を行っているのかを説明。江夏氏は、モーショングラフィックス、合成、色調整、CG制作、ファイル変換、そして撮影した素材や制作したCGなどを1つの作品としてまとめる作業もAfterEffectsで行っている。

プラグインのデモを行う江夏氏

モーショングラフィックスや合成などのデモでは、AfterEffectsに初期装備されているプラグインや市販のプラグインなどを使って、参加者の目の前で次々と作品を生み出した。テキストがアニメーションをしながら現れたり、粒子となって飛び散る、球体に貼り付いたように並んで回転するなど、そのままでもWeb素材として利用できそうな作品ばかりだ。

さらに、それらの作品に対してカメラワーク機能を使ったアングルの移動や、実際のカメラで撮影した映像とのグリーンバック合成を行い、より完成度の高い作品へと加工。最後は、Web素材として各種ファイル形式へ書き出すまでのワークフローを披露した。参加者もWeb制作におけるAfterEffectsの実用性や可能性を理解したはずだ。

Web素材作成ツールとしてのPremiere Pro

後半はアドビ システムズの古田氏が、Premiere Proを中心とした映像制作を紹介。AfterEffectsとの違いについては、映像の1カット1カットを繋ぐツールがPremiere Proであり、各カットを作り込むためのツールがAfterEffectsなのだという。インタビュー映像などの長い作品はPremiere Proで制作し、特殊効果などを用いた短い作品はAfterEffectsを利用すると良いとのこと。

Premiere Proのデモを行う古田正剛氏

古田氏も、実際に編集作業を行いながらPremiere Proの機能や特徴を解説。一般的には、映画やテレビドラマなどの映像作品用ツールとして使用されているPremiere Proだが、デモを行いながらWeb素材の作成ツールとして見た場合の利点を紹介してくれた。

まず、作品の画面サイズを自由に設定できること。映像作品ではアスペクト比が16 : 9や4 : 3などに決められているが、Premiere Proでは比率を自由に設定して、バナーのような横長や縦長の作品を作ることができる。また、映像編集用のハイスペックマシンを持っていないWebクリエイターでも、プレビュー解像度を下げて作業が行えるので、ノートパソコンなどでも高解像度の映像作品を編集することが可能だ。

そのほか、テキストデータをテロップとして流し込む際にPhotoshopと連携できる機能や、カットの細かい部分を作り込みたい場合はAfterEffectsと連携できる機能、書き出しでFLVといったWeb素材向けの形式もサポートしていること、などが紹介された。

実際に、多くのWebクリエイターが使い始めているというAfterEffectsとPremiere Pro。これからWebクリエイターを目指す人やスキルアップをしたい人は、作品制作に取り入れてみよう。