NECは12日、個人向けパソコン秋冬モデルの新商品発表会を開催した。今回の新モデルはレノボ・ジャパンとNECの事業統合後初の新モデル発表ということになる。さすがに企画・開発レベルで統合の効果が出てくるのはまだ先とのことだが、カスタマーサービスや調達などの点では統合による効果が出はじめているようだ。

「レノボとの事業統合は順調に船出ができた」

NECパーソナルコンピュータ 執行役員常務の高塚栄氏

冒頭に挨拶に立ったNECパーソナルコンピュータ 執行役員常務の高塚栄氏は、7月1日にレノボとの合弁会社がスタートしたことに触れ、「非常に順調に船出ができたと思っている」と語った。「発表当初は、今後NECのパソコンはどうなるのかと心配をいただいた」としつつも、統合後初の新商品発表を無事に迎え、また2012年1月からは電話サポートの完全無償化を実現するなど、ユーザーにも事業統合の効果を伝えられるようになっているとした。そして統合から得られるシナジーを、顧客満足度の増進と確信的な商品の開発にあてていきたいと語った。

今回の新商品のポイントとして挙げたのは、「一体型パソコンの正当進化」であるVALUESTAR Nのリニューアル、「新スタイルスレートPC」すなわちLaVie Touchの投入。これらの新製品を通じて、パソコンがデジタル時代のハブとして機能するビジョンを提案し、そのためにはユーザーが利用するにあたっての障害をなくすことが必要だとして、「安心・簡単・快適の強化」をもうひとつのポイントに挙げた。

今回がレノボとの事業統合後初のPC新製品発表会となる

繰り返し語られたキーワード「安心・簡単・快適」

その具体的な方策としては、パソコンおよびソフトをさらに使いやすくするということ、パソコンで何ができるのかを伝える動画ナビの充実、そしてわからないところを解決する使い方相談の無償化を挙げた。その一環として、武井咲さんをパソコンを新たに使おうというユーザの代表に見立ててCMキャラクターに迎え、メーカーとユーザーの間を近づける役割を果たしてもらいたいと語った。

VALUESTAR Nは「正当進化」

NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部長の栗山浩一氏

商品紹介を行ったのは、NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部長の栗山浩一氏。まず今シーズンの市場トピックとしては、まず夏モデルに引き続き「地デジ化」に言及。続いて、買い替えユーザーの購入理由で性能面よりも表示の美しさ・音質などのクオリティが重視されつつあるという調査結果を紹介し、震災以降の節電意識の高まりもユーザー行動に影響しているとした。これを受けて新商品ではVALUESTAR Nの一新、LaVie Touchの投入、その他の機種のさまざまな強化が図られているとしたが、その根底にあるものとして「安心・簡単・快適の追求」というコンセプトを強調した。

秋冬モデルの市場トピックとそれに対応するリニューアルのポイント

栗山氏が「私どもの一体型PCのメインストリーム」と呼ぶVALUESTAR Nについては、5半期連続のシェアNo.1獲得、現行モデルの2011年度5週目からの18週連続でのシェアNo.1獲得といった実績を紹介。そのリニューアルは「正当進化」というように、そのコンセプトに立ち返った製品デザインを採用。基本性能の強化、AV機能の強化については、一番売れ筋となる「VN770/FS」のクラスで大きく性能が向上していることを強調した。

21.5型IPS液晶やCore i7-2670QMの採用、強化されたAV機能などをVALUESTAR Nのポイントとして挙げた

LaVie Touchについては、その商品コンセプトを「いろんなコンテンツを手軽に楽しみたいというニーズが拡大し、直感的なタッチ操作が可能になった中でも、使い慣れたソフト・環境を利用できる」と語った。タッチスタイルとPCスタイルという2つのスタイルは「個人ユースに最適化したもの」だという。

コンテンツを手軽に楽しめ、慣れた環境で利用できるというのがLaVie Touchの製品コンセプト

タッチスタイルでの使い方については、15.8mmという薄さ、729gという軽量さにもかかわらず10.6時間の駆動を実現、さらにディスプレイも美しい10.1型IPS液晶ということで、「我々の目指した使い方を実現できる商品になっている」と自信を見せた。またマルチステーションにセットしたPCスタイルについては「今まで使い慣れた環境を提供するということでは、キーボード、DVDドライブへのアクセスが必要」とした。

タッチUIでの使いやすさという点については、Windows 7標準の機能に加え、「ExTOUCH」という独自機能を紹介。また、「スレートPCとしては珍しい」というOffice Home & Business 2010の搭載についても、「OneNoteがタッチや手書き入力を活かしたツールとして個人でも使える」とその狙いを説明。また、ネットワーク版のデータ交換ツール「Network Duet」でLaVie Touchを他のPCと連動させられる環境を用意している。

タッチスタイルでの使いやすさを考慮してソフトウェア面も工夫

さらに「安心・簡単・快適」への取り組みとして、先に高塚氏が紹介した電話相談の無料化(従来は1年間無料で2年目から有料)と動画ナビの拡充に加え、テレビ視聴ソフト「SmartVision」のホームネットダビング・外でもVIDEO・高速起動・高速ダビングという新機能を紹介した。電話相談の無料化は、今回の新製品を購入したユーザーだけが対象なのではなく、過去にNECパソコンを購入したユーザーも利用できるという。

従来は有料だった購入後2年目以降の電話相談が無料に。動画ナビも拡充する

調達面では統合のコスト効果は表れてきている

質疑応答では、レノボとの統合による効果を問う質問に対して、「7月1日に合弁会社が発足し、資材調達についてはそれ以降の調達分でメリットが得られるようになっている」と回答した。また、NECパーソナルコンピュータがWindowsのスレートPC、NEC本体がAndroid端末というように住み分けしていくのかという質問に関しては、「WindowsのスレートPCはパソコンのノウハウが活かせるのでNECパーソナルコンピュータが進めるし、Android端末はNECとレノボがそれぞれ展開している。要はそれぞれが強みを持っているところをやっていくということ」と語り、とくに住み分けが決まっているわけではないとした。

「今まですごい方達が選ばれてきたので、すごく光栄」

イメージキャラクタを務める武井咲さんが登場

発表会には新イメージキャラクタに決定した武井咲さんも登場。武井さんは、今回イメージキャラクターに選ばれたことについて、「今まで数々のすごい方達が選ばれてきていて、今回私が選ばれたことはとても光栄に思っています」と喜びを見せた。また武井さんは同時に安心・簡単・快適プロジェクトの広報担当にも就任しており、「NECパソコンのよさを伝えていくことが広報担当の仕事だと思うので、がんばっていきたいです」と話した。

CMの撮影風景や武井さんが新製品を使っている写真も紹介された

自身のパソコンの使い道としてはブログの更新やコメントを読むことだという。また、武井さんの愛犬の写真をアレンジした作品なども紹介されたが、「私でも簡単に作れました」と笑顔を見せ、最後に「今、パソコンは身近な存在なっていますけれど、私もみなさんにとって身近で存在感のある女優になりたいと思っています。NECパソコンともども応援していただけるとうれしいです」と自身の抱負を語った。