コンピューターの歩みはテキストエディターのそれと同じです。テキストファイルの作成や編集に欠かせないテキストエディターは、現行のOSであるWindows 7のメモ帳やMac OS XのTextEditのように標準搭載されていることからも、その重要性を理解できるでしょう。「世界のテキストエディターから」では、Windows OS上で動作する世界各国のテキストエディターを不定期に紹介していきます。

プログラマーのためのテキストエディター

Javaという名前を聞いたことはありますか? JavaはSUN(現オラクル)が開発したプログラム言語であり実行環境や開発環境を指す際に用いられます。それまでのプログラム言語に残されていた不満や欠点を解消し、代替えとなるプログラム言語を生み出すために開発が始まりました。

特定のOSなどプラットフォームに依存しない実行環境は、インターネットの普及と共に急速に広まり、軽微な実装では動的なWebサイトの実現に、有名所では基幹システムや組み込みシステムにも用いられています。

Javaは独立した存在であるため、Windows 7上でJavaプログラムを実行するには、JRE(Java Runtime Environment:Java実行環境)が必要となり、事前に導入しなければなりません。一見すると不自由な印象を持ちますが、様々なOSを使わなければならない場合、同一の実行環境を得られるJavaは大きなメリットとなるのは、ご理解頂けるとおりです。

本連載で紹介しているテキストエディターの多くは、特定のOSが稼働していることが前提となりますが、Javaベースで開発されたテキストエディターは前述のとおり実行環境を制限しません。このような背景のなかで生まれたのが「jEdit」です。

jEdit

最初にjEditを開発したのはロシア出身のSlava Pestov氏でしたが、2009年にGPLv2ベースのオープンソースソフトウェアとして開発を委託。氏自身は2006年にプロジェクトから脱退しました。しかし、jEdit自身の開発は続けられ、ここ一、二年は一度停滞した開発スピードも高まり、現在はバージョン4.4.1がリリースされています。

開発スタートから数えて13年の歴史を持つjEditは、130種類以上のプログラム言語に対応し、括弧やAPI名に対する強調表示をサポート。また、記述する言語によって有効に働く150種類以上ものプラグインが公開されています。その内容の多くはプラグラム言語向けのものであり、jEditはプログラマーがプログラマーのために作ったテキストエディターと言えるでしょう。

そのため、これまで取り上げてきた日本語文書を作成するテキストエディターとしては不向きですが、今回は趣向を変えて紹介します。なお、Mac OS Xには標準テキストエディターとして「Jedit」が存在しますが、本稿で紹介するjEditとは名前以外、何の関係もありません。それでは、jEditの導入から始めましょう。