大人の腕で存在感を放つ黒のプロトレック

カシオ計算機のアウトドアウオッチ「PROTREK(プロトレック)」の新機軸としてアナログモデルが好調だ。最新モデルの「PRW-5100」は幅広いユーザー層から高い人気を博しており、アウトドアフィールドのイメージを持つPROTREKシリーズにあって、シーンを問わずに着用できる懐の深いデザインが大きな魅力。そのPRW-5100にどっぷりとハマってみた。

PRW-5100には現在4モデルが用意されおり、今回のパートナーは樹脂バンドを採用した「PRW-5100-1JF」(以下、PRW-5100)。ネオブライト(蓄光塗料)を塗布した時分針/秒針/時字(時分の目盛り)と、シンプルなモノトーンカラーが好印象だ。時字もビジネスウオッチを思わせるアップライト(立体)タイプとなり、視認性はもちろん、シャープで都会的なスタイルに磨きがかかっている。言い換えれば、従来のアウトドアウオッチの常識を覆す「時計としての美しさ」を持っているのだ。

そのディテールをじっくりと見ていこう。百聞は一見にしかず。私がここで万の言葉を尽くすより、そのビジュアルが魅力を雄弁に語ってくれるだろう。

気品と力強さを併せ持つブラックボディ

見る角度によって輝きが表情を変えるソーラーダイヤル

精密感を主張し、方位とワールドタイム機能を物語るベゼルマーキング

研ぎ澄まされた剣を思わせる時分針

暗所でも見やすいネオブライト発光

暗闇でも針位置を一瞬にして読みとることができる高輝度LED

表面がダイヤルカットで指掛かりが良く、簡単な操作を実現するダイレクト計測ボタン

PROTREKのアイデンティティともいえるセンサーは、ケースサイドに配置されている

手首に寄り添うようにフィットする可倒式ラグ

脱落防止形状が安心のストラップエンド

鍛造(たんぞう)の裏ぶた。ロゴや文字がとても美しい

PRW-5100の魅力は、デザインの美しさだけにとどまらない。デジタルからアナログへのパラダイムシフトは、PROTREK伝統の「温度」「気圧」「方位」を測る3種類のセンサー(トリプルセンサー)による計測結果を、アナログ針の動きでインジケートするという魅力を生み出した。

アナログ針のSF的な魅力が男心を"わしづかみ"

しかしながら、そもそも「温度」や「気圧/高度」、「方位」といった情報が日常生活に必要なのだろうか。答えはズバリ「YES」である。本来、これらは知っておけば役に立つにも関わらず、知るためのツールが身近にないために、私たちは知らぬまま生活しているだけなのだ。

例えば、気圧の変化。一般に気圧が高くなると天気が良くなり(高気圧)、低くなると天気が悪くなる(低気圧)のは、経験的にも良く知られている。が、気圧の高低は相対的なものなので、気圧が上昇する傾向にあるか、下降する傾向にあるかは、その時点の気圧が数値で表示されただけではわからない。

PRW-5100が腕に巻かれていれば、BARO(バロメーター 気圧計)ボタンを押してやるだけで、気圧とその推移傾向が分かる。つまり、朝、出かける前にBAROボタンを押してみれば、折り畳み傘をカバンに入れて行くべきか否か、ある程度判断できるということだ。

気圧計測モードでのデジタル表示窓には、ヘクトパスカル数値と気圧の推移グラフが表示される。写真ではグラフ、秒針ともに下降傾向を示しているので、天候が崩れつつあると読み取れるわけだ

気圧計測時にADJUSTボタンを押すと、温度を表示。温度計測時は体温に影響されないよう、あらかじめ腕から外しておこう。それにしても、この夏は暑い!

気圧測定時、秒針が3時位置を基準として上か下にスッと動くが、これは直前計測時からの気圧推移(1hPa単位で+-10hPa)を示す。また、デジタル表示窓には気圧がヘクトパスカルで表示され、その横には過去16時間の気圧推移がグラフで表示される。PRW-5100は2時間ごとに気圧を自動計測しており、過去8回(16時間分)の計測結果を、通常の時刻表示のときもグラフで確認できる仕組み。

つまり、秒針の動きとや気圧傾向のグラフから、おおまかな天候の推移が分かるのだ。例えば、グラフがゆるやかに下降していれば、しだいに天気が崩れてきている。が、同時に秒針が上方向に大きく動けば、現在は回復しつつある、といった具合だ。

PRW-5100のおかげで帰宅中の思わぬ雨でも濡れずに済むかもしれないし、ハイキング前日、荷造りのときに安心して雨具をザックの奥にしまえるかもしれない。こうした情報に関心が向くことで、天気図を読めるようになる可能性だってある。"情報を知ること"は、私たちの日々の生活を豊かにしてくれるのだ。

PRW-5100の気圧測定モード

余談だが、PRW-5100の秒針のギミックは、松本零士作品を思わせる精密なディテール(ほら、宇宙戦艦ヤマトの地球防衛軍司令部や、銀河鉄道999の機関室にあるメーター類だ)と相まって、男心を"わしづかみ"にするものがある。これもアナログならではの魅力。この動きは、ぜひ上の動画で見ていただきたい!

さて、アウトドアも好きだよ、というあなたになら、PRW-5100はさらなる楽しみを与えてくれる。それは"ハイキング気分で高尾山に登山"といったライトなシーンでも然りだ。……次ページ「高尾山でPRW-5100の本領を垣間見る」