Googleから見えてくる2010年の関心事

2010年、世間は何に注目したのだろうか? それを知るひとつの指標が「Google急上昇ワード」だ。Google急上昇ワードとは、直前の同期間と比較して検索の増加率が高かったワードのこと。相対的に検索率の上昇度が高いものを集計している。2010年の年間急上昇ワードランキングは、2009年の一年間と比較して検索量が急激に増えたものを示す。当然、2009年には無かったもの、2010年に突然注目されたもの、ブームになったものなどが数多くランクインしている。2010年の話題を振り返ってみよう。

順位 ■総合ランキング ■ニュースランキング
1位 iPad ワールドカップ
2位 Xperia はやぶさ
3位 楽天銀行 スカイツリー
4位 ゲゲゲの女房 エコポイント
5位 AKB48 総選挙 茨城空港
6位 Justin Bieber フィギュアスケート
7位 ニコニコ静画 羽田空港
8位 少女時代 甲子園
9位 KARA スマートフォン
10位 ハートキャッチプリキュア バンクーバーオリンピック
順位 ■人物ランキング ■○○とは? ランキング
1位 岡村隆史 Ustream とは
2位 板野友美 ブブゼラ とは
3位 大島優子 ノーサイド とは
4位 高橋大輔 プロボノ とは
5位 本田圭佑 HTML5 とは
6位 前田敦子 ツイッター とは
7位 仲里依紗 被用者 とは
8位 マツコ・デラックス オフサイド とは
9位 篠田麻里子 レアアース とは
10位 西野カナ APEC とは

総合ランキング

2009年と比較して検索率上昇度が最も高かったワードは、米アップルのタブレット「iPad」だ。2009年には影も形も無かったのだから、上昇率は高くて当然といえば当然だが、発売と同時に日本中の注目を集めたことも確か。テレビでもスタジオでキャスターが「Alice for the iPad」を触っては驚いて見せたりしていたものだが、やはりというか、結局は一部の人のモノにとどまっているのが現状と考えたほうがよさそうだ。報道につられて買ってみたという人もいるかもしれないが、バリバリ活用し仕事や人生を一変させたようなケースがどの程度あるのかは疑問。あるいは各家庭内で新聞・電子書籍専用機としてひっそり活躍しているのかもしれない。

ネット関連では、YouTubeに投稿した動画から世界的なアイドルとなった「Justin Beever」がランクインしたが、英語圏と比べると注目度も低かったようだ。テレビ系では坂本龍馬より「ゲゲゲの女房」「ハートキャッチプリキュア」が強かった。韓国アイドルが2組もランクインしている点も今年のブームがよく反映されている。

Twitterではフォロワー600万人を超えるJustin Beever

ニュースランキング

国内外で様々なニュースのあった1年間だが、検索の世界では「ワールドカップ」がトップとなった。2006年ドイツ大会からインターネットも様々な変化を遂げ、今回は各種情報のマッシュアップやソーシャルメディアによるリアルタイム性・双方向性を活かしたサービスが登場。ユーザー同士の共有感がより高まったのではないだろうか。見る側のリテラシも確実に向上している。その他「フィギュアスケート」「甲子園」などスポーツ関連のワードが多い中、「バンクーバーオリンピック」は意外に低く10位という結果。2009年のうちから検索されていたため上昇率では低く出た可能性もあるが、ネット上での盛り上がりはワールドカップのほうが大きかったようだ。お祭りとしてのワールドカップは確実に日本人に浸透したと言えるだろう。

2位の「はやぶさ」は、ネットのみならず日本中を興奮と感動に巻き込んだ出来事だった。「茨城空港」(5位)・「羽田空港」(7位)と空港名が2つもランクインしているが、報じられた内容は対照的なものだった。ニュースランキングは、報じられた出来事の規模よりも、むしろそのニュースで良くも悪くもどれだけ気分が動かされたかが描き出されているようだ。

人物ランキング

人名ではお笑いコンビ「ナインティナイン」の「岡村隆史」がトップ。7月に体調不良を理由に休業を発表していたが、11月末に活動を再開。休業中も度々検索量が増えていた様子が伺える。躍進著しい「AKB48」からは、「板野友美」(2位)、「大島優子」(3位)、「前田敦子」(6位)、「篠田麻里子」(9位)とベスト10のうち4人をメンバーが占める結果に。

休業中の検索量が非常に多かった岡村隆史

ランキングがほぼ芸能人で埋まる中、唯一スポーツ方面からフィギュアスケートの「高橋大輔」(4位)とサッカー日本代表の「本田圭佑」(5位)が入った。ニュースランキングからもサッカーやフィギュアスケートが注目されていたことがわかる。

○○とは? ランキング

知らない言葉に「とは」をつけて調べるのは誰もがやること。2010年に最も質問されたのは動画中継サービス「USTREAM」だった。米国で同サービスが開始されたのは2007年。日本では2010年に入って急激に注目され始めたが、4月より日本語版が提供されたことがそれに火を付けた。各種イベント中継をはじめ、「はやぶさ」の地球帰還、ソフトバンク孫正義社長の「光の道対談」、また同サービスと連動したテレビ番組など多彩なコンテンツが印象に残る。とはいえ、この1年で個人、零細規模で有効利用する人たちが増えた一方、社会的にはまだまだ実験レベルだったと言えそうだ。

ブブゼラ」はサッカーワールドカップで注目された南アフリカの楽器。その音量がテレビ中継の妨げともなったが、各国サポーターはチームカラーのブブゼラを手に大いに盛り上がっていたようだ。ランキング全体的に政治色の少ない中、9月に行われた民主党代表選における菅総理の「ノーサイド」発言が注目された。もとはラグビー用語の"試合終了"で「試合が終了すれば敵味方なし」という精神を表すと言うが、党内の試合はむしろその後が本番だったようだ。