5月29日、茨城県つくば市に電子工作や基板の実装などが楽しめる喫茶店「FPGA-CAFE」がオープンした。同店の通常営業時間は、毎週日曜日の13時から20時までとなっているがこの日は特別に、開店記念として一足先に土曜日にオープン、営業を行ったほか、来店者を巻き込んだイベントなどが催された。
同店は、筑波大学の近くに位置しており、つくばエクスプレス「つくば駅」から筑波巡回バス(左回り)に乗り、約9分で到着する「天久保2丁目」のバス停で降車、そこから徒歩5分ほどのところにある。
店のコンセプトはオープンソースハードウェア(HW)のためのコミュニティスペース。そのため、はんだごてやオシロスコープなどはもちろん、マウンタなども用意されており、それらを活用した電子回路製作が可能となっている。また、「将来的にはリフローやレーザー加工機も導入する予定」(同店店長の相部範之氏)としており、将来的には店内だけで一通りのことができるようになることが計画されている。
ただし、喫茶店とは言いつつも、来店者に提供されるのは紅茶とコーヒーのみ。残念ながら食べ物の販売は行っていないが、食べ物の代わりに、電子部品や基板、さまざまなキットといった一般的な電子工作に必要となる部品が売られているほか、個人やベンチャー企業など、いわゆる大手メーカー以外の人たちが作成した小ロットのキットなどの受託販売を行っており、そうした組み立てなどが行えるほか、電子工作などを趣味、もしくは事業として行っている人たちが集い、さまざまな意見を交換する場としての機能を持たせることが目標となっている。
オープン記念日となった当日は、ニコニコ技術部などで活躍する人たちを含め、電子工作を行っている人々が来店。一時は60名程度に来店者が膨れ上がり、店内に入りきれず、外でも交流が行われた。
また店内の様子はUstreamでも配信されており、同日には、来店した人の中で、自作した作品などを持ち込んだ人の成果披露なども行われ、その様子も生中継が行われた。
トップバッターは電子楽器「ウダー」の製作者として知られる宇田道信さん。クーラーボックスを改造してエネループ30本によるバッテリ、MIDI音源、アンプ、スピーカを搭載。空きスペースにはウダー本体を入れ、持ち運ぶことができる |
ニコニコ技術部のはるさん。BeagleBoard(ビーグルボード)を使って、1024×768画素の動画を再生しており、XilinxのFPGA「Spartan-6」を活用することで、LVDS信号の2倍高調波成分(455MHz)の処理を実現している |
冬斗さんによるイルミネーション。今年1月より作り始めたもので、フルカラーLEDをマイコンによる電流制御でさまざまな色を滑らかに出すことができる |
zusaさんによる「たこルカDance」。たこルカをサーボ制御で、挙動データを元に動かすことができる。現在はArduinoを用いているが、将来的にはビーグルボードの活用と、バッテリ対応によるコンパクト化を図る予定とのこと |
FPGA-CAFEが開店に至った経緯を店長の相部氏は、「基板作成の受託メーカーなどに委託して、実装まで含めて作ってみると、利益を上げようと思うと、相当枚数を作らないと利益が上がらない。FPGA-CAFFEでは、例えば10枚くらい作って、即売会などで売るとか、そういったことをやりたい人にも対応できる場所を作ろうと思ったことがきっかけ」と説明する。
FPGA-CAFEの店長、相部範之氏 |
また、同氏は、「試作基板や小ロット製品などを作りたい人、メーカーがあればぜひ相談して欲しい」としており、FPGA-CAFEをそういった人たちを支援する場所へと成長させていきたいと笑顔を見せてくれた。