いわゆるアニメメーカーの宣伝マンたちによる業界横断ブログ「アニメメーカー横断宣伝マンブログ」。そのメンバーたちが一堂に集うイベント「アニメメーカー横断宣伝マン生ブログ!」が、11月2日、法政大学の学園祭「自主法政祭」にて開催され、アニプレックスやポニーキャニオンなど9メーカーより10名の宣伝マンたちによるトークショーが繰り広げられた。

■「アニメメーカー横断宣伝マン生ブログ!」出演者
◆石原良一氏 (エコロジ) / ポニーキャニオン
宣伝担当作品 / 『にゃんこい!』『咲-Saki-』『月刊男前図鑑』
◆野島鉄平氏 (のじてつ) / ポニーキャニオン
宣伝担当作品 / 『CANAAN』『狼と香辛料Ⅱ』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』
◆巻口容子氏 / ティー・オーエンタテインメント
宣伝担当作品 / 『うみものがたり』『文学少女』
◆佐藤寛氏 / フロンティアワークス
宣伝担当作品 / 『アニメ「うみねこのなく頃に」』
◆廣岡祐次 / バンダイビジュアル
宣伝担当作品 / 『ブレイク ブレイド』『「装甲騎兵ボトムズ」シリーズ』『宇宙をかける少女』
◆鶴岡信哉氏 (つる) / メディアファクトリー
宣伝担当作品 / 『ソウルイーター』『クイーンズブレイド』『聖剣の刀鍛冶』
◆橋本淳子氏 / スターチャイルドレコード
宣伝担当作品 / 『夏のあらし!』『懺・さよなら絶望先生』『夏のあらし! ~春夏冬中~』
◆JUMBO齋藤氏 / エイベックス・エンタテインメント
宣伝担当作品 / 『GA 芸術科アートデザインクラス』『ファイト一発!充電ちゃん!!』『メジャー』
◆長谷川朋子氏 / マーベラスエンターテイメント
宣伝担当作品 / 『宙のまにまに』『真・恋姫†無双』『11eyes』
◆高橋祐馬氏 (ゆま) / アニプレックス
宣伝担当作品 / 『劇場版「空の境界」』『化物語』『ひだまりスケッチ』

今回のトークショーは、来場者から集められたアンケートをもとに行われたが、司会を担当したアニプレックスの高橋祐馬氏が「なるべくクビにならないくらいのギリギリまで攻める」と冒頭で宣言したとおり、アニメファンが日ごろ感じている疑問や意見などに対して、普段はなかなか耳にすることができないアニメ業界の本音などが赤裸々に語られた。

トークショーには9メーカー10名の宣伝マンたちが参加

大学の学園祭で行われたこともあって、質問項目には「アニメ業界で働くために必要なものは?」「女性にとって働きやすい職場か?」など、就活に絡んだものが多かったのが印象的。「アニメ業界で働くために必要なもの」については、「社交性」「コミュニケーション能力」などが挙げられた。もちろん「アニメが好き」であることは必須だが、「オタクであること」については、「アニメに興味があり、造詣が深いという点では武器になるが、それをどのように使うかが重要。やはり大前提として社交性やコミュニケーション能力が必須である」という意見に集約された。

ちなみに、アニメ業界は「優しい人が多いので、女性でも働きやすい」とのことだったが、「おっぱいやパンツといった言葉をためらわずに口にできないといけない」という意見もあり、このあたりで若い女性が挫折してしまうこともあるとか。そのほか、生活のリズムが崩れやすいので、これからアニメ業界を目指す女性に対して「お肌の手入れが大切」とのアドバイスも贈られた。

「宣伝費はどれくらい使えるのか?」「TV局と広告代理店にいくらぐらいピンハネされているのか?」といったなかなか答えにくい質問もぶつけられたが、そのあたりにも逃げずに回答する宣伝マンたち。宣伝費については、さすがに作品単位での金額までは明言されなかったが、数百万円レベルから一千万円を超えるものまで、作品によってマチマチとのことで、中には"クビになりかけるぐらい"の金額を使ってしまったことがあるとの豪快な発言もみられた。「ピンハネ」については、「ネットなどに書かれているものはほとんどがまちがっていて、いわゆる"ピンハネ"は基本的には存在しない」とのこと。

また、「Blu-ray」を投入するタイミングについての質問には、「ターゲットとなる年齢層」「他社の動向」などを見据えたうえで判断しているというのが全体的な意見だったが、逆に「作品がSDで制作されているため」という、Blu-ray版がリリースされない裏事情なども語られた。

そのほかにも、「今だからいえる失敗談」や、「『月刊男前図鑑』のキャスティングはどうやって決めるのか?」「『クイーンズブレイド』のヒットの理由」「『ひだまりスケッチ』がこんなに人気になると思っていたか?」「なぜ今、『ボトムズ』の新シリーズなのか?」など、宣伝マンたちが担当する作品に対する個別の質問、「仲の良い声優さんはいますか?」「キャスティングに口は出せますか?」などなど、多岐にわたる質問に対して、じっくりと語られた1時間30分。各宣伝マンにとっても、ユーザーと直接触れ合う機会は少ないため、「今後もこういった機会を持ちたい」とのこと。今回参加できなかった人は次の機会を楽しみにしておきたい。