ネットブックを巡るPCメーカーやライバルらの動きが、Microsoftの築いたWindows帝国の業界支配を崩すのではないかという見方が出てきている。PCメーカーのOSプリインストールPCに対してWindowsをライセンス提供することで安定した収入を築いてきた同社だが、昨今の金融危機による消費低迷とより低価格なネットブック製品の台頭、そしてLinuxがこうした低価格システムのOSとして再び注目を集めるようになってきたことで、中長期的にMicrosoftの体力を削り続けていく可能性が出てきたためだ。

ネットブックの台頭とPC市場の縮小

ノートPCの低価格化はここ数年の傾向だが、その方向性をさらにはっきりとさせたのが2007年末に登場した台湾ASUSのEee PCだ。700-1000ドル台の価格レンジが一般的だったノートPCの市場に、OLPCやClassmate PCの200ドルというレンジに近い300ドル未満の価格帯で小型ノートPCをリリースし、いわゆるネットブックと呼ばれる低価格PCの市場を確立させた。プロセッサやストレージのスペックを落とすことで製造コストを抑え、さらにOSにLinuxを採用することで低価格での提供を実現したものだ。

だがMicrosoftはこの動きにすぐ反応し、Windows XPを通常よりも低価格で提供することでネットブックへのプリインストールに成功している。そのため、2008年以降に登場したEee PCを含むネットブック型モデルの多くがWindows搭載版となり、NPDの調査によれば2009年2月時点でのネットブックに占めるWindowsのシェアは96%に達するという。Windowsを標準OSとして選択したことで既存のPCユーザーのセカンドマシンのほか、あくまで低価格のノートPCということで購入するユーザーが出るなど、ある程度の市場拡大に貢献しているといえる。

だがネットブック台頭の一方で、既存のPCビジネスは市場停滞の傾向が見え始めている。先日IDCが発表した世界のPC市場調査報告によれば、2009年第1四半期のPC出荷台数は前年同期比7.1%減のマイナス成長となり、緩やかな拡大傾向にあった市場が縮小に入ったことがわかる。また同調査はあくまで出荷台数ベースであり、金額ベースではさらに縮小している可能性がある。事実、2008年第4四半期には年末商戦のてこ入れのためにPCメーカーや小売りらが積極的に値引き攻勢を仕掛けて販売台数確保に励んでおり、結果として主力製品のノートPCの販売価格は当初の1000ドルを大幅に下回るケースがよく見られる。また同カテゴリに含まれるネットブックの販売台数は依然増加傾向にあり、ASP(平均販売価格)の下落と総売上の低下はほぼ確実だ。