開港150周年を記念したテーマイベント「開国博 Y150」を来年2009年に控えた横浜で、日比野克彦氏プロデュースによるダンボールの船「種は船」の進水式がこのほど行われた。ダンボールで制作され、特殊な防水加工を施された4艘(そう)の船が山下埠頭8号物揚場(横浜市中区山下町)に集結し、埠頭前の海に浮かべられた。

ぽかぽかといい天気にめぐまれ進水式が行われた

大きな船たちと肩を並べるY150丸(左)とYOKOTORI丸

日本各地から明後日朝顔の種が届いた

日比野克彦氏といえば"ダンボール"を使ったアートで広く知られるが、今回の「種は船」プロジェクトは2003年に開催された「第2回大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」において会場の新潟県十日町市莇平(あざみひら)ではじまった「明後日朝顔プロジェクト」での、"朝顔の種"がきっかけ。同プロジェクトは、全国30を超える各地で市民などと朝顔を栽培し、その種を収穫。種は全国の会場へと送られ、次年度以降の栽培にリレーされる。朝顔の栽培や種の送付を通じて、人と人、地域と地域のコミュニケーションを促すというものだ。

開式直前まで作業を続けていた日比野氏

このプロジェクトを進める中で日比野氏は、種って船だよね、と思い至り、人が乗れる大きさの種の船をダンボールで制作する本プロジェクトがスタートしたという。これまで莇平丸、明後日丸、金沢丸の3艘が製造されているが、この内、明後日丸、金沢丸(莇平丸は現在、水戸芸術館で公開中)が山下埠頭に運び込まれた。今回、当地においてこの夏の間に、登録ボランティアを中心に横浜市民や観光客など延べ約11,000人が参加し、ワークショップを行って制作してもらい、2艘が新造された。新造船2艘と運び込まれた2艘を加えた計4艘はいずれも全長約4mあり、外装をポリウレタン樹脂の新素材、Futu Rash(フツ・ラッシュ)を用いて防水処理する事で、実施に海に浮かべ、大人4~5人が乗船できる。進水式に先駆けて、明後日丸、金沢丸は一足先に海に浮かべられ、新造された2艘の進水式を見守った。⇒スロープは勘弁!? 着水はクレーンでつり上げて…