三菱自動車は3日、2009年ダカールラリーへの参戦記者会見「三菱自動車 2009年ダカールラリー 増岡浩選手&新型競技車『レーシング ランサー』合同取材会」を開いた。会見では、まず三菱自動車モータースポーツ部部長新井泉氏による、「2009年ダカールラリーの概要と参戦体制」並びに「新型競技車『レーシング ランサー』概要」と題したプレゼンを実施。続けて、増岡選手による所信表明並びにコース攻略に関するプレゼンが行われた。そして会場には、レーシング ランサーのレプリカを展示。横には、ベース車両となった「三菱 ギャラン フォルティス スポーツバック」の実車も並べられ、レーシング ランサーと比較できるようになっていた。
三菱自動車の2009年ダカールラリー参戦概要
参戦に関しては、三菱自動車と同社のモータースポーツ統括会社であるMMSPは、チーム・レプソル三菱ラリーアートから新型競技車「レーシング ランサー」を4台導入する体制で挑むと発表。これにより、三菱自動車チームは1983年の第5回大会以来の26年連続出場となる。また、増岡選手は、三菱自動車チームの8大会連続総合優勝を達成するとともに、自身のV3を実現することを力強く宣言した。
メインスポンサーのレプソルはスペインに本拠を置く石油会社。また今回初陣となるレーシング ランサーは、FIAグループT1規定のスーパープロダクション仕様の競技車両で、新開発のディーゼルターボエンジンを搭載。チーム体制は、代表がMMSP SAS社長の中山修氏で、監督はドミニク・セリエス氏(フランス)。ドライバー/コ・ドライバーに関しては、増岡浩/パスカル・メモン(フランス)、2輪部門6勝と4輪部門通算3勝を誇るステファン・ペテランセル(フランス)/ジャン-ポール・コトレ(フランス)、元スキーヤーで通算1勝のリュック・アルファン(フランス)/ジル・ピカール(フランス)、若手のホアン・ナニ・ロマ(スペイン)/ルーカス・センラ・クルス(スペイン)となっている。
サポートカーの体制について、カミオン7台、「三菱 パジェロ」5台、「三菱 アウトランダー」1台、「三菱 パジェロ スポーツ」2台の系15台という陣容。また、サテライトチームは、ブラジルで現地生産/販売を行うMMCB、チーム三菱ラリーアート・イタリア、チーム三菱ラリーアート・タイランドが参戦を予定している。
2009年ダカールラリーの概要
ダカールラリーの第30回大会は、従来のアフリカから南米に舞台を移すことは既報の通り。ルートは、1月3日(日本時間4日)にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスをスタートし、まずは南下。大西洋沿岸の観光地プエルト・マドゥリンで西へ向かい、難所のひとつである、4000メートル強のアンデス山脈越えに挑む。そこを抜けるとチリに入り、同国を北上して太平洋沿岸の歴史的な港町バルパライソに9日(日本時間10日)に到着。ここで休息を1日に取り、11日から競技を再開し、さらにチリを北上して行く。そして、アンデス山脈越え以上とされる難所のアタカマ砂漠でループを描くルートを踏破すると、そこから東へ向かって再びアンデス山脈を越えて(ここは3000メートル級)アルゼンチンに戻り、同国を南下して第2の都市コルドバへ。最終的に、18日(日本時間19日)にブエノスアイレスに戻ってゴールというルートだ。総走行距離は9574km、競技区間は5652km。路面の90%以上がハードなグラベルだという。
増岡選手の説明によれば、特に前半に多いグラベルステージはWRC出身ドライバーが速いかも知れないが、ここでは差がつきにくいという。それよりもアンデス山脈越えや、アタカマ砂漠がやはりポイントとなるようだ。アンデス山脈越えはこれまでにない4000メートルの高地を通過するため、自身も含めてチームでこのあとアルプス山脈の3000メートルの地点で3週間の高地トレーニングを行うなどして対策を取るという。増岡選手が最大の勝負所と睨んでいるのは、アタカマ砂漠。660kmという非常に長い競技区間が用意されており、砂丘越えなどのナビゲーションが重要になる。ちなみにアフリカと異なり、サボテンの太いトゲが埋まっているということでパンクの危険性も高く、ここで大きく勝敗の行方が分かれるという。この時の増岡選手の表情からは、「ここでライバルたちを突き放す!」という強い自信に満ちたオーラのようなものを感じさせられた。
ダカールラリーのコース図 |