【レポート】
高いエネルギーをもったアルファ粒子や中性子がシリコンに衝突することによって、LSIのエラーを惹き起こすことは、1978年のInternational Reliability Physics Symposium(IRPS)におけるIntelの発表以来、業界の常識となっているが、半導体の微細化に伴い、その影響が深刻になって来ている。
コンピュータシステムのエラーに対処する研究成果を発表する学会であるDependable Systems and Networks 2008が、アラスカのアンカレッジで開催され、IBMのメインフレームであるz10の高信頼設計についての発表が行われた。また、ハードウェアレベルのエラー検出やエラー回復機能を装備したIBMのPOWER6プロセサや富士通のSPAR64 Vプロセサに対して、強力な放射線を当てて、設計通りにエラーから回復できるかを検証した結果が報告された。
1978年のIRPSにおいて、Intelは、アルファ線によりDRAMのデータが化けるというエラーが発生する、という論文を発表し、学会、業界に衝撃を与えた。強力な放射線が半導体の動作に影響を与えることは知られていたが、通常の使用状態で、放射線がLSI動作にエラーを惹き起こすことを示した最初の論文である。現在、IntelはDRAMを作っていないが、業界初の1024ビットのDRAMを製品化したのはIntelであり、1978年当時は、IntelはDRAMのトップメーカーであった。
アルファ線はヘリウムの原子核で、LSIパッケージのセラミックや半田などに微量に含まれるウラン238やトリウム232などの放射性同位元素が自然崩壊することにより発生する。アルファ線はそのエネルギーレベルにもよるが、最終的に止まるまでに、最大で25μm程度シリコンの中にめり込む。そして、この衝突でシリコン原子から外殻の電子が叩き出されて、大量の、自由に動ける電子と正孔のペアが生成される。
近くにプラスの電位を持つ電極があると、自由に動ける電子はそちらに引き付けられて吸収されてしまう。マイナスの電荷を持つ電子を吸収するということは、負の電流パルスが加わることと同じであり、プラスの電位の電極にマイナス方向のノイズパルスが乗る。一方、正孔はマイナスの電位の電極に引き付けられて吸収され、プラス方向のノイズパルスが乗ることになる。
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