マクロ撮影は三脚が基本

マクロレンズは被写体を大きく写すため、撮影倍率が高くなるほど手ブレが目立ちやすくなる。特に焦点距離が長いマクロレンズではその傾向が強くなる。また、マクロ撮影では絞りを開けてピントを浅くすることが多いが、するとカメラの位置が少しでもずれただけでもピント位置が変わってしまう。ブレやピンボケを防ぐために、マクロ撮影では三脚の使用が基本になる。

ブレやピンボケを防ぐため、使用する三脚はある程度の重量があり堅牢なものを選びたい。安い三脚では、シャッターを押しただけで揺れてしまうものもある。単純な目安としては、値段が1万円以上のもの。購入するときに、三脚の脚を開いて上から押さえつけてもガタつかないか確認してみよう。店員に使用するカメラやレンズを告げて、いくつか推薦してもらうのもいい。

三脚とカメラを固定する雲台(うんだい)には、3つの回転方向を独立して調整する「3ウェイ雲台」と、カメラを自由自在の方向に向けられる「自由雲台」の2種類がある。好みで選べばいいが、一般に素早くセッテングするなら自由雲台、細かく調整しながら合わせるなら3ウェイ雲台のほうが有利だろう。また、カメラの三脚穴と雲台を固定する部分の脱着が簡単な「クイックシュー方式」を採用しているモデルもある。

また、マクロ撮影にはローポジション対応の三脚がいい。これは脚の開脚角度が変えられるもので、全高をより低くすることができる。花マクロを撮影するのならローポジション対応モデルを選びたい。

三脚の脚は2~3段の伸縮式になっているが、上のロックから伸ばしていくのが基本。下段になるほど細くなるため、それですぐにブレるというわけではないが、太いほうから使うのが安心だ。また手ブレ補正機構は、最近はオンにしたまま三脚で使っても問題ないレンズやカメラが増えているが、よくわからなかったらオフにしておくのが安心。バッテリー消費の面でも有利だ。

マクロ撮影では、三脚は必需品

三脚は、脚を上から伸ばして使用したほうが安定する

手持ちでブレた画像(トリミング)

三脚を使用してブレを防いだ(トリミング)

ローアングル撮影では、三脚のセンターポールを外して使用する

超ローアングル撮影なら小型三脚が便利。これはベルボンの「ULTRA MAXi mini」。全高477mm、最低高136mm、重量580mm、最大積載量1.5mm。価格:9,800円前後

【雲台の種類】

3ウェイ雲台。じっくり構図を決めるのに最適で、風景、静物写真に向いている

自由雲台。ネジひとつで横方向や上下方向など、自在に向きが決められるのが特長

クイックシュー方式の3ウェイ雲台。ワンタッチでカメラの脱着が可能

ピント合わせはオートフォーカスに頼らない

三脚を使ったマクロ撮影は、フレームを決めてしまうと簡単にはカメラが動かせなくなる。すると、フレームの中央でない位置でピントを合わせることがとても多い。すると、ピントを合わせたい場所にAFポイントが来るとは限らないのだ。AFポイントがうまくピント位置に来たとしても、小さな被写体を狙うマクロ撮影では、オートフォーカスでピントが合わないこともある。特に明るいマクロレンズで絞り開放、被写体もコントラストの低い花びらとなると、オートで狙った位置に合わせるのはとても大変だ。いっそのことオートフォーカスをあきらめて、マニュアルでピントを合わせよう。最初は戸惑うかもしれないが、すぐに慣れる。マニュアルのほうが快適なことも少なくない。

最近、当たり前となりつつあるライブビューは、液晶画面を見ながら撮影できるのため、ローアングル撮影などでとても便利。さらに撮影時に拡大表示機能を搭載しているカメラなら、マニュアルでピントを合わせる場合でも威力を発揮するだろう。

また、「花マクロ」では、三脚を立てたい位置が花壇の内側だったり、足場が悪いこともある。そんなときは手持ち撮影をせざるえない。手持ち撮影では、手ブレや体の揺れによるピントボケが発生しやすい。それらを防ぐには手ブレ補正はもちろん、ISO感度を上げて速いシャッタースピードで撮影しよう。ただし絞りを開けると被写界深度が浅くなってピントを外しやすくなるので気をつけたい。ブレを防ぐ意味では、マニュアルフォーカスよりも常にピントを追い続けるコンティニアスAFを使ったほうが有利。マニュアルでピントを合わせるなら、ある程度ピントが合ったら、微調整はフォーカスリングを回すのではなく、体を動かしたほうがピントを合わせやすいはずだ。

ローアングル撮影で便利なライブビュー撮影

マクロ撮影では、マニュアルフォーカスを覚えると便利

手持ち撮影をせざる得ない場合は、コンティニアスAFを使うといい