Google(google.co.jp)のトップページが変わった - 基本的なデザインに大きな変更はないが、日本のユーザ向けに「おすすめ」「いろいろな検索」といったタブや、Gmail(メール)やYouTube(動画)、それに乗り換え案内のアイコンなどが表示されるようになった。ロゴとサーチボックスだけの、「シンプル」というよりは「そっけない」感じの強かった以前のトップページと比べると、シンプルなところは相変わらずだが、ずいぶんユーザフレンドリになった印象を受ける。

すこしだけにぎやかになった感じのGoogle日本語版トップページ

Googleで最初の女性エンジニアであるMarissa Mayer氏
Google Vice President of Search Products & User Experience

あのシンプルきわまりないトップページは、日本においても長いこと同社の象徴だったのだが、それを変更したのは「日本のユーザに最高のサーチエクスペリエンスを提供するため」にほかならない。今でこそさまざまなWebサービスを提供するGoogleだが、その基本がサーチであることは設立当初から変わらず、むしろサーチへの取り組みをワールドワイドでさらに強める方向にある。「サーチはGoogleのすべて」(グーグル 製品企画本部長 辻野晃一郎氏)とは、同社エグゼクティブのみならず、おそらく世界中の全Googleスタッフ共通の思いだろう。

業界のトップに君臨し続けるということは、時代の流れに合わせてつねに自らも変わり続けなければならないことを意味する。Microsoft、Yahoo!といった強力なライバルを抑え、サーチの世界でトップを走り続けるGoogleが、サーチに関わるイノベーションで足を止めることは許されない。現在、米Googleで同社の要とも言うべきサーチ関連製品を統括するMarissa Mayer氏(VP Search Products & User Experience)が9日、東京・渋谷のグーグルオフィスにて同社のサーチ事業の歴史と現状、そして今後の展望について語った。

Googleのトップページに「これは心理学の臨床実験なのか?」

初期のGoogleトップページ。今とほとんどデザインが変わっていない。このシンプリシティこそがGoogleのベース!?

Googleのトップページはなぜあんなにシンプルなのか - 1999年にGoogleに参加したMayer氏は、以来、何度も同じ質問を受けてきたという。「あんな空白だらけのページがトップページなんておかしい」「これは心理学の臨床実験か何かなのか?」など、サービス開始当初はさんざんな言われようだったとか。

「Sergey Brin(Google創設者)は、"当時は(Googleに)Webマスターがいなかったから、このデザインで始めた"と語っているが、すぐにこのデザインが最適だと気づいた。いっさいの複雑性を排し、ロゴとサーチボックスだけ - Googleがサーチを重視する会社だということを示すのに、これほど適したデザインはなかった」とMayer氏は振り返る。事実、そのデザインのシンプルさが、逆にGoogleのサーチ能力の高さを際立たせることになる。Googleが、AltaVistaなど先行のサーチサービスを大きく引き離した要因は、ユーザにとって最適な検索結果を返すこと、そして「レイテンシ0.16秒」というその高速性にあるが、この2つの追求は今もGoogleのサーチイノベーションの源泉となっている。ユーザは、シンプルなトップページに込められた「サーチを追求するGoogleの姿勢」が、いかに洗練されたテクノロジによって裏付けられているのかを、自分たちが手にしたサーチ結果によって知ることになったのだ。