【インタビュー】

雑学王 - 唐沢俊一の素

1 雑学王への道

    木全直弘  [2008/05/15]

    「へぇボタン」で知られたフジテレビ『トリビアの泉』。日本に雑学ブームを巻き起こしたこの番組は、唐沢俊一氏の頭に詰め込まれた膨大かつ広範なすばらしきムダ知識から生まれた。漫画、アニメ、特撮、SFなどに親しんだオタク第1世代の中から、21世紀の雑学王は、どのようにして誕生したのか!?

    唐沢俊一氏

    ――唐沢さんといえば、「雑学をよくご存知」ということで知られておいでなわけですが、このような知識はそもそも、どのようにして得られたものなのでしょう?

    「別に最初から雑学王を目指そうと思っていたわけではなくて(笑)、キッカケになったのは、小学校二年生のときに手術のため入院したことですね。病院の一室に、ひと夏閉じ込められて」

    ――海や山へ行って、駆け回りたい年頃ですね。

    「そのときにみんな、お見舞いに漫画雑誌を持ってきてくれるわけですよ」

    ――「少年サンデー」や「少年マガジン」など、週刊少年誌が創刊されて間もないころですね。

    「そこに掲載されている漫画は、すぐに読んで憶えちゃう。その次は、読み物記事を読む。それも憶えると、最後は漫画のコマの端の余白に載ってる一行豆知識のたぐいを読んで憶えるわけですよ」

    ――なるほど。

    「憶えると、今度は人に話したくなるじゃないですか。で、お見舞いに来てくれた人たちに、『ねえ、知ってる? 知ってる?』って話す。すると関心してくれて、『へぇ~』と」

    ――当時『へぇボタン』があったら、みんな押してるとこですね(笑)

    「で、それが病みつきになって、雑誌などを何でもコレクションするようになる。小さいころから集めたやつが、押入れの中に山のように積み上がって、それが二階だったんですけど、その重みで床がたわんで襖が閉まらなくなっちゃって、親に『捨てろ』と(笑)」

    ――「親に『捨てろ』と言われた」って、オタクの懐かし話に必ず出てきますね(笑)。

    「そのまま捨てるのはもったいないから、読みたい記事だけ、赤塚不二夫さんの漫画とか、ファンだったから切り離して抜いて集めてとっておく。ところが、それもやっぱりしばらくするとたまっちゃって、また床がしなって、襖が閉まらなくなる(笑)」

    ――(笑)。

    「それも始末しろと言われる。そこで何を残すかというと、それをさらに切って(笑)、一行豆知識のところだけ残して、ノートに貼ったりしてましたね。だから、最初からためようと思ったんじゃなく、仕方なく……。それが一番スペースをとらない(笑)」

    ――なるほど。じゃ最初は、必要に迫られてダイジェストを重ねて、繰り返しふるいにかけて最後に残ったのが……。

    「シンプルな記事だったわけですね」

    ――その後もさらに、雑学を集めていかれるわけですね。雑学の魅力というのは、どこにあるとお考えでしょう?

    「僕たちが雑誌で読んだ知識っていうのは、限りなくためにもなるけれど、あやしげなものも混じっていた、というところですね」

    事務所内は、どの部屋も本でぎっしり。これはそのごく一部。一体、何冊あるのだろうか。「いやあ、1万冊までは数えてたんだけどねえ(笑)」

    ――と、おっしゃいますと……。

    「高校時代に読んだ、『幻影城』という雑誌に掲載された鮎川哲也先生のエッセイに、若いころアルバイトのライターとして一行豆知識を担当していた、と書いてあったんですよ」

    ――はい。

    「で、ネタが足りなくなると、"だぼら"を書いたというんですね。アフリカのどの国には巨大な土ボタルがいて(笑)、原住民はそれを掘り返して提灯のように吊り下げて夜道を歩くのである、みたいな」

    ――そういういい加減なことを書いてらしたわけですね(笑)。

    「それを読んでひっくり返って笑って、なるほどと。いわゆる雑学一行知識、トリビアの魅力というのは正しい知識の間に、そういういかにもあやしげな知識が混じってるところなんだなと」

    ――なるほど。

    「プラモデルにバリというのがありますが……」

    ――本来、成型段階では出ないハズの余分で不要な部分ですね。

    「知識や人間の行動にも、やはりバリってあるんですね。そのバリの部分があるからおもしろい、と考えるのか、まったくムダだと考えるか。ということだと思うんですよね」

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