5月31日にマイナ法案が可決され、現在の保険証は2024年で廃止、今後は「マイナ保険証」としてマイナンバーカードと一本化されることとなった。マイナンバーカードには人の頭をボンヤリさせる機能があるせいか、また朦朧としている内にかなり重大な法案が可決されてしまっていた。

(編集注:マイナ保険証になると、「病院での過去の投薬履歴・健診の確認」で過剰投薬などを防ぐほか、「確定申告時の医療費控除の簡略化」や、「大病や大けがで限度額以上の医療費がかかるときの一時支払い手続きが不要」といったメリットがあると公式サイトで説明しています)

ここまで来てもマイナンバーカードの作成は「任意」である。任意とは「行けたら行く」という奴が絶対来ないように「作れたら作る勢」が永遠に作らないことを意味する。

対して保険証は会社に所属していれば社会保険に加入して作らなければいけないし、そうでなければ国民保険に入るのがほぼ義務なので、よほどの無頼派でなければ持っている。

普及率の高い保険証を廃止し、まだ持っていない人間も多いマイナンバーカードに一本化するのは、あえて今ゲームをNintendo SwitchではなくPSVitaで発売決定するようなものではないか、さらにそれを「保険証」という命に関わるアイテムでやるのは危険なのではないか、と誰もが思いそうなものだ。

しかし、やはりマイナンバーカードは関わった人間の頭をもれなくサイレントヒルにさせる力があるらしく、霧の中で「ここはどこだ」と言っているうちにマイナ法案はスピーディに可決されてしまった。

だが懸念されていた通り、マイナンバーカードの「誤登録」によるトラブルはすでに複数起こっているようだ。

マイナンバーカードは年金や補助金など公金の受け取り口座と紐づけることができ、それが7,500マイナポイント取得の条件でもあったため、今回紐づけた人も多かったと思われる。

しかし、それが他人の口座と紐づいてしまっており、補助金が他人の口座に振り込まれそうになるという事案がすでに起こっているそうだ。

誰もが「謎の入金がされていないだろうか」と無駄に記帳をした経験があると思うが、それが実現する可能性が高まったという意味では夢のある話だ。

また他人の情報が紐づいてしまっており、コンビニで住民票を印刷したら、全く知らない人が召喚されるという、ラノベの冒頭みたいなことも起こっているらしい。

デジタル庁は誤登録に対応する特設ページを作っており、コンビニで知らないおじさんが召喚されてきた時の連絡先などは書かれているが、解決策や予防策については書かれていないため、やはり十分な対策が取られないままマイナンバーカード事業が進められていた感は否めない。

怪我人にも顔認証or暗証番号を求めるマイナ保険証、本当にスマート?

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そして「保険証」に関するトラブルもすでに起こっている。

某県ではマイナ保険証を持参して診察を受けた男性が、保険の加入の確認ができず、無保険扱いの10割負担となり、コロナ陽性の診断を受けるも手持ちでは診察料しか払えず治療薬は受け取れないという、泣きっ面にドロップキックのような事案が起こったそうだ。

そのようなトラブルを予想し、「マイナ保険証を使う人も念のため現行の保険証を持参してくれ」と要請している医療機関も多いようだ。

「一応お母さんと一緒に来てくれるかな」状態であり、マイナ保険証が現在ガキの使いであることがわかる。

またマイナ保険証には「暗証番号」や「顔認証」による照合があることも問題視されている。

病院というのは基本的にステータスに異常がある人が訪れる場所だ、五体満足時でも思い出せないことがある暗証番号を、心身に不調がある人が全員滞りなく入力できるとは考えづらい。

顔認証についても、何せ病院なため、事故で容貌が大きく変わってしまった人もいるかもしれないし、顔に包帯を巻いている人もいるだろう。

また、尿管結石で担ぎ込まれた人に「マイナンバーカードと同じスカし面をしてください」と言っても無理だろうし、そんな人の顔に何度もカードリーダーを押し付け、エラー音を聞かせ続けるのも酷である。

現在はそのような事態を保険証で乗り切っているが、それが廃止された時の混乱は想像に難くない、という。

ちなみに、マイナンバーカードに一本化後も、絶対マイナンバーカード持ちたくない勢は、10割負担か、病になったら潔く死ぬ侍にならなければいけないかというとそうではなく、「資格確認書」を発行し、それを代わりに使うことができるようだ。

むしろ今の混乱を見るに「資格確認書」を使った方が確実なのではないか、もしくは「マイナ保険証と資格確認書両方持ってきてくれ」という、保護者が変わっただけになってしまうのではないか。

また病院だけではなく、介護施設なども今後は保険証だけではなく、暗証番号まで管理しなければならなくなるとして、その負担増を懸念する声も大きい。

登場時から「現場の事務作業の簡略化」が最大のメリットだったマイナンバーカードだが、現在のところ、かえって複雑化してしまっている気がする。

そういえば私もマイナンバーカードは持っているが、保険証との紐づけはしていない。

保険証が廃止される2024年までに紐づけをしないといけないのだが、何せマイナンバーカードを見た瞬間頭が朦朧としてしまう。

2024年、保険証と紐づいていないマイナンバーカードを持って病院に行き、無事医療費を10割負担することになると、ここに予言しておく。

カードは作っただけでは保険証にならないので注意だが、記事をここまで読んで頭がぼんやりしている皆様にはこの助言も届かないだろう。