先日釣りに出掛けた夫から「バスと思ったらカエルが釣れた」と仰向けになった巨大なウシガエルパイセンの画像が送られてきた。

その威風堂々たる姿に私は言葉が出ず、「嘔吐」の絵文字でパイセンへの畏敬の念を表すにとどめたが、夫はその後針を飲んだパイセンを国に帰すべく、リアル吐瀉不可避のバトルを繰り広げたそうである。

夫はその後も釣りに繰り出しているが、もし私が同じ目にあったら「この状況を受け入れる気力の限界」により、その場で引退、竿はオフハウスの糧とするところだ。

そして奇しくもこれと同時期に、各地でパイセンの同胞たちにより人間が精神的引退に追い込まれかねない事件が多発したようである。

一番有名なのが、みんな大好き丸亀製麺の新商品「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入していた件である。

有名と言ってもTwitter内だけの可能性もあるのだが、Twitterだけが我々の世界の全てなのだから仕方がない。井戸から飛び出した勢いで丸亀の大海にダイブするカエルパイセンの方がよほど果敢である。

しかも丸亀シェイクうどんはその名の通り、カップに入ったうどんや具材をシェイクしてから食べる商品なのだ。数ある商品の中でよりによってそれに飛び込んだパイセンは蛮勇と言って良いほどチャレンジングである。

しかも、粗方食べ終わったあと、底から発見されたパイセンはまだ「存命」であった。Twitter井戸から出られない我々が同じことをやったら、おそらく一振り目で死んでいるだろう。

証拠の動画がTwitterに挙げられたことにより拡散され騒ぎになったのだが、当初は「生きてないだろ普通?」とパイセンの生命力を侮る者たちや「Twitterに挙げているところが怪しい」と、自分たちの民度をよく理解した者たちにより、自作自演や嘘松扱いする声も多かったようだが、その後工場課程での混入であると認められた。

ただ、事実だったらお客様センターなどしかるべきところに報告すべきであり、ただでさえシェイクされて大変だったパイセンを、Twitterなるカエルも住めないドブ川に流すべきではない、というと諫める声も多かったようだ。

もちろん本人も先に店側に訴えてはいたようである。しかし、その対応が「三時間閉店後再開」という納得いくものではなかったため、Twitterで公開という手段をとったようだ。

まともに訴えても相手にされなかった案件をTwitterで炎上させ、無視できない状態にする、というのは近年よく見られる手法である。

実際、この方法で泣き寝入りになっていたものが良い方向に向かうことも多いが、何せTwitterの水質はウンコなので、拡散されるほどデマが混ざったり、告発した側が誹謗中傷を受けたりすることもある。

しかし、それだけ「もはやTwitterに頼るしかない」という背水ではなく排水の陣に追いこまれている人がこの世には多いということだ。

カエル混入は「騒ぎすぎ」? でも食卓で出くわしたくはないよね

  • 大量発生するカエルは田舎の風物詩。とはいえ、料理の中に「いる」のはスルーできないですよね……

他にも、長野県のスーパーで売られていたサラダにもカエルが混入するという事案があったらしい。こちらは丸亀製麺ほどの騒ぎにはならなかったが時系列的には先に起こっており、内容はこちらの方が凄惨である。

まずカエルは野菜とともに殺菌された状態で混入したようだ。殺菌されているため健康被害の可能性は薄い、とポジティブに考えることもできるが、それでも皮膚毒の被害を受ける可能性はある。

たとえ無害、むしろ実質サラダチキン、と言われても気分的によろしくない。ニュースでは「カエルとみられる異物」と表現されており、人間でいう「全身を強く打って死亡」状態だったのではないか、と予想される。

しかも発覚は「口に入れた後」だそうだ、被害に遭った人がこの日をもって生野菜を引退してしまってもおかしくない。製造元は再発防止のために、レタスを洗う人員を増やしたり、レタスに光線を当て異物の有無を調べる回数を増やしたりするようだ。

何故このようなカエル事件が相次いだかというと「この時期もっともカエルが活性化するから」だそうだ。

この説明で納得できるかは人によって意見が分かれるところだが、実際「田畑にカエルが増える時期なので当然」「過敏」などと意見もあったようだ。

しかし、これらの意見は、Twitterと下方にしのぎを削り合っているでおなじみの「ヤフコメ」で出たものなので、基本的には「カエルが多い時期だからって入っていいはずないだろいい加減にしろ」というのが消費者の意見のようである。

しかし、地域によっては、この時期にカエルの混入をさけるのは雨を全弾避けるぐらいの不可能であり、むしろ飯に交じったカエルで春の到来を感じる人にとっては今回の事件は「何をそんなに騒いでいるかわからない」のかもしれない。

だが、私の村も結構な田舎だが、そこまでカエルがカジュアルに食事に紛れ込んではいないし、紛れこんでいたら普通に悲鳴をあげる。

もちろん、もっと田畑が多く、本当にカエルがどこから出てこようと「この季節だから仕方がない、むしろ入ってない方が不自然」と言える地域があるのかもしれない 。

つまりヤフコメ村には田んぼと畑しかないのだろう。