『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』 火曜23時~ カンテレ・フジ系

出演者:伊野尾慧、伊原六花、松倉海斗ほか
寸評:「妻が事故死したが部屋で再会。夫も死んでいた?」「会えるのは“ミックス”という現象の1日3分だけ」。初回から解釈困難な展開が続き、パラレルな2つの世界が交錯することで、事故死の謎解きも難解に。よほどのファンタジー好きでなければ我慢を強いられる作品。火曜23時枠はSTARTOタレントのラブストーリーに特化したのか。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】

  • 伊原六花


『恋は闇』 水曜22時~ 日テレ系

出演者:志尊淳、岸井ゆきの、森田望智ほか
寸評:「愛した男は連続殺人鬼なのか?」というヒロイン目線で恋の判断力を問うコンセプトは吸引力十分。ただ、「ホルスの目殺人事件」の描写に幼さは否めず、進展の遅さに耐えられない視聴者もいるだろう。舞台はテレビ局と週刊誌の報道だけに『キャスター』と似たシーンが目立つこともマイナス材料に見える。事件も恋もロングミステリーであり、終盤に向けて尻上がりに注目度を上げていきたいところ。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 志尊淳


『Dr.アシュラ』 水曜22時~ フジ系

出演者:松本若菜、佐野晶哉、渡部篤郎ほか
寸評:ハードボイルドなスーパードクター、未熟な研修医、救命科廃止の陰謀、病院内のパワハラなど、医療ドラマのド真ん中。さらに、1人で2人の患者を同時に手術、一瞬で病状を見抜く千里眼、急患が来る前に気づく第六感、病院を抜け出して災害現場へ向かう…などツッコミどころ満載で令和のアップデートは見当たらず。それでも松本の力強い演技と美しさが作品をけん引。松山博昭監督らしいライティングにこだわった映像で医療シーンのグロさを中和している。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 松本若菜


『PJ ~航空救難団~』 木曜21時~ テレ朝系

出演者:内野聖陽、神尾楓珠、石井杏奈ほか
寸評:航空自衛隊全面協力の映像は迫力十分で、ゴリゴリの体育会系指導はハラスメント全盛の時代にむしろ痛快。どちらも「命を守る最後の砦」としての説得力につながっている。なかでも内野演じる教官の突き抜けたパワーと熱血さは強烈。率先して汗をかき、大声を張り上げ、若き訓練生たちを引っ張る姿に、令和の日本が失ったリーダー像が見えるよう。懸命に食らいつく訓練生のまっすぐな瞳、過去を乗り越えて成長していく姿にも感動を誘われる。不安定な国際情勢や天候不順が続き、フジの『海猿』が制作されなくなった今、存在意義は高い。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 内野聖陽


『波うららかに、めおと日和』 木曜22時~ フジ系

出演者:芳根京子、本田響矢、和久井映見ほか
寸評:昭和初期のラブストーリーだからこそ、「結婚が先」で「恋愛が後」という逆転現象が起き、「会ったことがない」という設定も含め新鮮さが際立っている。「名前を呼ぶ」「手を握る」ところから少しずつ心を通わせていく過程を丁寧に描いたある意味、贅沢なラブストーリー。謙虚で奥ゆかしく、互いを思い、いたわり合う2人のキャラクターに引かれる。昨今の連ドラに付き物の話題性狙いの急展開や、思わせぶりな考察要素などがないことも差別化に。心の声が多めの脚本と、身振り手振りが多めの演出はもう少し抑えていい感もあるが、このほうが若年層にはわかりやすいのかもしれない。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 芳根京子


『彼女がそれも愛と呼ぶなら』 木曜23時59分~ 読テレ・日テレ系

出演者:栗山千明、伊藤健太郎、千賀健永ほか
寸評:不倫ドラマが供給過多の中、“複数恋愛”は一歩進んだコンセプトという狙いだが、見る人を選ぶテーマであることは間違いない。「そんな愛の形はアリか」という問題作として見られる人はもちろん、10人超の恋愛模様を詰め込むなど、意外にバランスの取れた物語に。三股を平然とこなすヒロインより友人の絹香(徳永えり)が気になる人も多そう。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 栗山千明


『失踪人捜索班 消えた真実』 金曜21時~ テレ東系

出演者:町田啓太、小泉孝太郎、菅生新樹ほか
寸評:「日本の年間行方不明者数・約8万人」という入口と「民間の失踪人捜索チーム」という設定は、既存の刑事ドラマとは似て非なるもの。元刑事に加えて、ITの天才、演技の達人ら各分野のプロフェッショナルが集うチームの捜査もやり取りも楽しい。「愛する妻の失踪解明」という大テーマをどのように盛り上げていくのか。捜査一課に留まり、刑事としてバディを組む小泉の役柄を生かしたいところ。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 町田啓太


『イグナイト -法の無法者-』 金曜22時~ TBS系

出演者:間宮祥太朗、上白石萌歌、三山凌輝ほか
寸評:「訴訟をたきつけ大金を稼ぐ」「無法者の弁護士」という入口に鮮度はなく、見どころは演出。気鋭のクリエイターが集うBABEL LABELが初めてGP帯ドラマを制作するだけに業界の注目度は高い。序盤の展開と映像はアクションなども含め、メンバーの藤井道人監督が手がけた『アバランチ』(フジ系)のムードが漂っている。いかに弁護士ドラマの枠からはみ出してくれるのか。より意外性ある物語が求められる。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 間宮祥太朗


『魔物』 金曜23時15分~ テレ朝系

出演者:麻生久美子、塩野瑛久、佐野史郎ほか
寸評:「日韓クリエイターの共同制作」が目玉だが、肝心の脚本は日本人のみで物足りなさを感じる。「愛した男は殺人犯なのか」というラブサスペンスは『恋は闇』と同じで目新しさはなく、やはり不倫、DV、殺人、そしてベッドシーンを押し出したインパクト勝負か。旬の俳優である塩野の輝きで、「韓国ドラマが好きか」を問わず女性層を引きつけそう。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 麻生久美子