米Microsoftは4月4日(現地時間)、設立50周年のアニバーサリーにCopilotイベントを開催した。同社の創業初期、共同創業者ビル・ゲイツ氏は「すべてのデスクと、すべての家庭にコンピュータを」というビジョンを掲げた。それが現実となり、50年目を迎えた今、同社は「すべての人のためのAIコンパニオン」という新たな目標を提示し、Copilotの進化を支える多数の新機能および機能強化を明らかにした。
Microsoftが次に目指すのは、ユーザー個々のニーズ、価値観、要望に応じてカスタマイズ可能な、真にパーソナルなAIコンパニオンである。
その実現に向けた一歩が、新機能「Memory」の導入だ。Copilotはユーザーの許可のもと、対話内容をもとにユーザープロファイルを構築し、パーソナライズに活用する。たとえば、好物やよく視聴する映画のジャンル、家族の誕生日や好みといったさまざまな情報を記憶し、ユーザーの生活文脈を理解する。それにより、運動習慣を継続するためのモチベーションなどユーザーに寄り添った提案や、タイムリーなリマインダーを提供する。
Memoryはプライバシー保護とユーザーによるコントロールを優先した設計になっており、ユーザーは専用のダッシュボードを通じて、Copilotが何を記憶しているかを確認し、記憶させる情報の種類を選択したり、Memory機能を完全に無効にすることが可能である。
さらにMicrosoftは、Copilotの外見をカスタマイズする機能も実験中である。AIコンパニオンにユニークな見た目を設定することで、ユーザーがより親しみを持って対話できる可能性がある。
今年、生成AI分野で注目を集めるエージェントの新機能も導入される。「Actions」により、Copilotは単なる情報提供者から、ユーザーのタスクを代行するパートナーへと進化する。たとえば、「来週のコンサートチケットを予約して」「夕食のレストランを予約して」といった簡潔な指示で、Copilotが自動的にWebサービスを用いてタスクを実行する。この機能は多くのWebサイトで利用可能になる予定で、発表時点で、1-800-Flowers.com、Booking.com、Expedia、Kayak、OpenTable、Priceline、Tripadvisor、Skyscanner、Viator、Vrboなどがローンチパートナーとして発表されている。
マルチモーダル機能の強化も進められている。昨年末にWeb版に導入された「Copilot Vision」がモバイルとWindowsに拡大される。モバイルアプリでは、カメラで周囲を映しながら、例えば植物の健康状態を診てもらったり、部屋の装飾についてアドバイスを受けたりといった利用が可能になる。カメラロール内の写真分析も可能だ。
新たなWindows向けアプリでは、複数のアプリケーション、ブラウザのタブ、またはファイルにまたがって作業している時に、Copilotを呼び出し、検索、設定の変更、ファイルの整理、プロジェクトの共同作業などさまざまなタスクを依頼できる。Copilotアプリには、[Alt]+[Space]キーを押す(または長押しする)と音声コマンドでアクセスできる。Vision機能はまずWindows Insider向けに提供され、順次一般提供が開始される見込みである。
このほか、以下のような機能が紹介された。
- Pages:Copilotとの対話をメモとして保存できるPagesがワークスペースとして進化。メモ、リサーチ、アイデアなどキャンバスにまとめると、Copilotが情報を整理・要約し、下書き作成から最終的な編集作業までサポートする。
- Podcasts:ユーザーが指定した情報ソースに基づき、AIホストによるポッドキャストのような音声コンテンツを生成する。たとえば、休暇の計画や住宅購入のオプションの比較など、音声によるリアクションが加わるPodcastsでは、会話形式ならではの文脈やニュアンスを通じて、自然な情報理解が可能となる。再生中にCopilotと対話し、内容をさらに深掘りすることもできる。
- Deep Research:多段階にわたるリサーチ作業を効率化。インターネット情報や大量の文書・画像を横断的に分析し、要約や比較、背景解説などを含む意味のある回答を提供する。
- Copilot Search:Bing検索において、従来のWeb検索と生成AIによる回答を統合。複数のWebサイトの情報を横断的に参照し、出典を明記した上で包括的な回答をBingの結果ページに表示する。
これらの新機能は、4月4日から初期バージョンの提供が順次開始され、プラットフォーム、地域、言語によって提供状況は異なるものの、今後数週間から数カ月かけて段階的に拡大される計画である。